運動後に冷水シャワーを浴びると、筋肉の成長を阻害するという研究結果が出た。
米国ニューヨーク市立大学の研究チームが、運動後の冷水シャワーをテーマにした八つの研究をメタ分析した。研究チームは▲冷水浸水▲冷凍療法▲アイスバス▲運動後の冷却などのキーワードで行われた運動関連の研究を検討した。
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分析の結果、運動後に冷水シャワーを浴びたり、冷罨法をするなど、身体に冷たい刺激を加えると、筋肉の生成能力が低下した。研究チームが分析したある研究で、成人男性12人を対象に比較した結果、筋力運動後に冷水シャワーを浴びると筋肉の回復力および生成速度が遅くなった。参加者たちは2週間にわたり筋力運動を15分間行った後、一方の足は冷水、もう片方の足は常温の水に浸した。2週間後、冷水に浸した足は常温の水に浸した足に比べ、筋肉の回復力が低く、筋肉の生成量が少なかった。
オランダ・マーストリヒト大学の運動および栄養生理学教授リュック・ファン・ルーン氏は「身体温度を低めることは、運動中に生じたむくみ、痛み、つらさなどを減らす効果があり、運動後に冷水シャワーを浴びる人は少なくない」とした上で「しかし筋肉成長の側面においては、運動後の冷水シャワーはまったく助けにならない」と主張した。
研究チームは、冷水シャワーによる冷却効果が、身体が合成するたんぱく質の量を減らし、筋肉の成長を阻害すると分析した。米国メイヨー・クリニックのスポーツ医学専門家アンドリュー・ジャギム氏は「筋肉の成長と強化を目標に運動する人は、冷水シャワーをしない方がよい」と話している。
どうしても冷水シャワーを浴びたかったら、運動が終わってから6時間後にするのがよい。英国の生物医学教授ロンダ・パトリック氏は「筋肉を効果的に増やしたかったら、冷水シャワーの時間を調整しなければならない」とした上で「筋力運動後、6時間たってから冷水シャワーを浴びたり、筋力運動をしない日にすることをオススメする」と語った。筋力運動をする間、筋肉が裂けると、運動後に身体でたんぱく質を合成して筋肉が回復し、より大きく強くなる。したがって、運動後に筋肉が回復する時間にはなるべく冷水シャワーを避けることで、筋肉の成長が低下しない、というのが研究チームの説明だ。
なお、この研究結果は最近、「European Journal of Sport Science」に掲載された。
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