2014年に流通が始まり、わずか8年後の2022年に韓国のブドウ市場で首位(栽培比率41.4%)を占めたシャインマスカットの人気に陰りが出ている。首位に立ってから2年で栽培割合が下落に転じたのだ。一方で、退潮傾向だったキャンベルアーリーと巨峰は反撃に出た。シャインマスカットは価格が従来のブドウの3~4倍にもかかわらず、甘さを武器に口コミが広がったが、多くの農家が栽培に参入すると価格が下落した。農家は単価の下落を補うため、限られた農地に過度に多くの苗木を植え、糖度と品質も低下した。その間にキャンベルアーリーと巨峰の栽培割合はシャインマスカットが登場して以降初めて上昇した。シャインマスカットの全盛期が2年で終わるのではないかとまでささやかれるほどだ。
■ブドウ市場を救ったシャインマスカット
シャインマスカットは「ブドウ界のエルメス」「マンゴー味のブドウ」などという別名で呼ばれ、夏の高級果実として市場が成長してきた。シャインマスカットが流行すると、かき氷、飲料、菓子のほか、化粧品の原料としても活用された。これまで韓国で主に販売されていたキャンベルアーリーや巨峰より価格がはるかに高く、帰農した農家が栽培に乗り出した。
シャインマスカットの人気が高まると、低迷していたブドウ農家も活気を帯びた。韓国農村経済研究院農業観測本部によると、2000年以降減少してきたブドウ栽培面積はシャインマスカット人気で2019年には1万2676ヘクタールに回復。それ以降は2023年の栽培面積が1万4706ヘクタールとなるなど持続的に増加している。シャインマスカットの栽培面積は2017年には全体の約4%だったが、昨年は43.9%まで拡大した。
■「ブランドフルーツ」ではなくなったシャインマスカット