OLEDの用途がスマートフォン中心からタブレット端末、ノートパソコンなどIT全体へと次第に拡大する傾向に合わせ、中国企業は関連投資に死活を懸けている。京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は昨年、630億元(約1兆2900億円)を投資し、IT製品用OLED生産ラインを建設すると発表。維信諾科技(ビジョノックス)もIT用OLED工場の建設を決めた。市場調査業者ディスプレーサプライチェーン(DSCC)によると、2020年から2027年までの期間に世界のディスプレー生産設備関連支出の85%がBOE、深圳市華星光電技術(CSOT)など中国企業に集中する見通しだ。一方、韓国企業による同支出は12%と見込まれる。ディスプレー業界はOLED市場でも液晶パネル同様に低価格攻勢が続くかどうかに神経を尖らせている。業界関係者は「中国企業のOLED分野の技術力が上がれば、現在韓国企業の主な供給先であるサムスン電子、アップルのプレミアム製品を巡る競争が繰り広げられる可能性がある。OLED市場でも低価格攻勢が始まる可能性があるため、その前に技術格差を広げることが重要だ」と指摘した。
韓国が優位に立っていた液晶パネルは、時間がたつにつれて汎用技術になり、低価格攻勢をかけた中国が市場を掌握した。サムスンディスプレイは2022年に液晶パネル事業を完全に中断し、LGディスプレイも2022年に韓国国内でテレビ用液晶パネル生産をやめ、中国工場の売却を進めている。最近、LGディスプレーの広州液晶パネル工場売却の優先交渉対象者にCSOTが選定された。買収が完了すれば、テレビ用液晶パネル市場から韓国企業は消え、中国の影響力はさらに高まる見通しだ。液晶パネル市場では今後、中国3大メーカーのシェアが70%に達するという見通しも出ている。
ユ・ジハン記者、イ・ヘイン記者