テコンドー男子58キロ級決勝 背を向けた相手を蹴ったパク・テジュンのインスタ大荒れ パリ五輪

 パリ五輪のテコンドーで金メダルを獲得したパク・テジュン(20)=慶熙大=のインスタグラムが荒れている。男子58キロ級決勝で棄権により敗れたマゴメドフ(24)=アゼルバイジャン=のファンたちが「負傷した相手選手を尊重しなかった」としてパク・テジュンを批判しているのだ。これに対し、韓国のファンたちが「正当な攻撃だった」と応戦し、言い争いが続いている。

【写真】背を向けた相手を蹴るパク・テジュンと批判コメントであふれるインスタ

 パク・テジュンは7日(現地時間)、パリ五輪テコンドー男子58キロ級決勝でマゴメドフの棄権によって勝利を収め、金メダルを獲得した。

 パク・テジュンの金メダルが確定する直前、観客はパク・テジュンにやじを飛ばした。第2ラウンドで13-1になった状況で、パク・テジュンは勝利を確実にするため攻撃に入った。パク・テジュンの蹴りがマゴメドフの太ももを直撃すると、マゴメドフはよろめきながら背を向けた。パク・テジュンはチャンスとばかりにマゴメドフの背中側に蹴りを入れた。マゴメドフはコートの外側のマットに倒れ込み、マウスピースを外して苦しがった。

 これを見て観客はやじを飛ばした。マゴメドフがすでに負傷して苦しんでいるのに、パク・テジュンがそれを無視して激しく攻撃したのはやりすぎだと映ったのだろう。その後、マゴメドフは棄権し、パク・テジュンが金メダルを獲得した。

 試合が終わると、インスタグラムのパリ五輪公式アカウントとパク・テジュンの個人アカウントには、金メダルを祝う投稿がアップされた。これに対し、マゴメドフを応援していたアゼルバイジャンの人々はコメント欄で相次ぎパク・テジュンを批判した。アゼルバイジャンの人々は「私はアゼルバイジャン人だが、韓国のテコンドーのファンだ。テコンドーの真の意味は礼儀だと習ったが、韓国の選手は礼儀を守らなかった」「マゴメドフは倒れていたのに、どうして彼を蹴ったのか」「最後の蹴りは絶対に必要なかった」「韓国は全世界に文化国家として知られているが、そうは見えなかった。選手は無礼だったし、これは偽りの勝利だ」などの反応を示した。

 すると、韓国のファンたちは反発し、パク・テジュンを擁護した。「審判がプレーを止めなかったからパク・テジュンは試合を続けたわけで、これはフェアプレーだ。負傷したのなら試合を止めるべき。簡単なこと」「テコンドーでは相手をコートの外に追いやっても点を取ることができる。パク・テジュンの最後の攻撃はそのためのものだったのだから、悪く言わないでほしい」「五輪で負傷者に配慮しながら試合をするのは、むしろ侮辱だともいえる」「審判が試合を止めていないのに、最後の蹴りがなぜ無礼なのか分からない。けがは残念だが正常な攻撃だった。パク・テジュン選手、金メダルおめでとう」などのコメントが相次いだ。

 大韓テコンドー協会が発刊した「テコンドーのキョルギ(組手=五輪で採用されている種目)競技ルール」によると、8角形のコートの限界線から外に出た場合、選手は1点減点される。1回のラウンドで5回減点されると相手選手が勝利する。第2ラウンドでマゴメドフはすでに4点減点されていた。あと1点の減点でパク・テジュンが勝つという状況だったため、パク・テジュンはマゴメドフを足で攻撃し、コートの外に押し出そうとしていたとみられる。

 韓国SBSのテコンドー解説委員チャ・ドンミン氏は「この状況ではパク・テジュン選手が正しい」「正確な状況で回し蹴りをした」と述べた。さらに「主審が『カルリョ(止め、離れて)』と言った後にあのような行為をしてはいけないが、主審は『カルリョ』とは言っていなかった」と指摘した。テコンドーのルールで主審が『カルリョ』と言った後に相手を攻撃した場合、主審は減点を宣言することになっている。

 パク・テジュンも試合後に同様の立場を示した。試合後に取材に応じたパク・テジュンは「最後の場面は、審判が『カルリョ』と言った後に足で蹴った場合、反則でマナー違反になるが、カルリョと言うまでは足を出すのはルール違反ではない」として「審判がカルリョと言わなかったのでそのまま蹴った」と話した。さらに「僕は防具の部分を攻撃したが、(痛がっていた部分については)相手が倒れた時にぶつかったのか分からない。(マゴメドフは)太もものあたりを押さえていたが、なぜ押さえていたのか分からない」と説明した。

 試合中のやじについては「試合に集中していたので聞こえなかった」と話した。パク・テジュンは「もともと何度も会っている選手だし、前から知っている選手」「試合が終わった後、申し訳ないと伝えた。相手も『格闘技なので当然ぶつかることはあるし、スポーツだから大丈夫。おめでとう』と言ってくれた。互いに健闘をたたえ合い、(負傷した相手に)肩を貸してやった」と話した。

イ・ガヨン記者

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  • ▲テコンドー男子58キロ級の授賞式を終え、負傷したマゴメドフに肩を貸すパク・テジュン。/News 1
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