「ムスリムが凶器を持って暴れた」 デマ判明後も英全域に拡大する反移民暴力デモ

8日間続く暴力デモで400人近い逮捕者が発生
暴動を触発した「ムスリムが凶器を持って暴れた」といううわさはうそだと判明したが…
積み重なった反移民感情が爆発し、暴力デモが続く

 現地英国では、2011年に黒人のマーク・ダッガン(Mark Duggan)が警察に銃で撃たれて死亡する事件を契機として引き起こされたデモが全国的な暴動になり、およそ2000人が司法処分を受けた事態以来、13年ぶりの最悪の暴力デモだ-という評価が出ている。英国内の自国民や旅行者に安全上の警報を発令する国も増えている。ロンドンの駐英韓国大使館もホームページに緊急のお知らせを載せ「英国政府の強硬対応方針にもかかわらず、今後も極右暴力デモはいつでも発生し得る可能性が依然として存在するので、英国にいる韓国国民は身辺の安全に留意してほしい」と要請した。マレーシア・インドネシア・ナイジェリア・オーストラリア政府も、暴力デモ発生地域への旅行は避けよ、と案内した。

 今回のデモに関連してスターマー首相と、テスラのCEO(最高経営責任者)でソーシャルメディア(会員制交流サイト)のX(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏が正面衝突するという事件も起きた。マスク氏は前日、X上で暴力デモの動画をシェアし「英国において内戦は避けられない」と書き込んだ。翌日には、スターマー首相の「ムスリムのコミュニティーへの攻撃を容認しない」という書き込みを自分のアカウントで引用しつつ「(イスラムの共同体のみ保護するのではなく)英国の全ての共同体に対する攻撃を心配すべきではないのか」と書き込んだ。反移民デモ隊の味方をしたのだ。マスク氏は、Xの自分のアカウントに、移民者を攻撃するコンテンツを載せたことが何度もある。

 英国政府は反発した。首相室は声明を通して「(マスク氏の書き込みは)決して正当化され得ない発言」だとし「現在、一部地域で起きている暴動は、ごく少数の右翼勢力が主導しているものであって、この勢力は英国社会の世論を代弁する者たちではない」と反論した。その上で、マスク氏を意識して「ソーシャルメディアに乗って暴動をあおる発言が広がり、事態を悪化させている」「ソーシャルメディアを率いる実業家が先頭に立ってこのようなことを言い捨てるのは無責任な行動」と批判した。

リュ・ジェミン記者

【グラフィック】英国の反移民暴力デモに見るフェイクニュース拡散プロセス

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