オリンピックの数ある偉大な歴史の中で今後も絶対に破られないものがあるとすれば、それは「水泳界のレジェンド」マイケル・フェルプス氏(39)=米国=の最多金メダル記録だろう。フェルプス氏は2004年のアテネ大会から2016年のリオデジャネイロ大会まで4大会に出場し、23個の金メダルを獲得した。今回のオリンピックで水泳の女子800メートルと1500メートル自由形で優勝し、通算9個の金メダルを獲得したケイティ・レデッキー(27)ら2位グループにも14個の差をつけている。「オリンピックの生きたレジェンド」と呼ばれるフェルプス氏は5日(現地時間)、パリ五輪の公式タイムキーパー(公式時間計測機関)であるオメガのアンバサダーとしてパリ市内で開催されたイベントに登場した。世界30カ国以上のジャーナリストたちだけが入れる場所で記者も取材ができた。
【写真】パリ五輪ゴルフ男子初日 会場から拍手を送るフェルプス氏
最初の質問は最近水泳界で大きな話題をさらっているドーピング問題だ。パリ五輪を前に米国やオーストラリアの複数のメディアは「東京五輪で23人の中国選手は開幕7カ月前のドーピングテストで陽性反応を示したが、大会には通常通り出場した。世界反ドーピング機関(WADA)はこの問題を公正に判断できなかった」と報じた。今回のパリ五輪でも中国選手に対する視線は厳しいが、そのような中で水泳の女子200メートルバタフライで銅メダルを獲得した張雨霏は「中国選手たちは良い結果を残せば疑われる」「なぜフェルプスは疑われないのか」と不満を吐露した。
これに対してフェルプス氏は断固たる表情で「現役時代に(禁止薬物を服用したという)疑惑に何度も苦しみ、自分からあえてより多くのドーピングテストを受けた」「23個のオリンピック金メダルは完全に私の努力で公正に手にしたものだ」と述べた。その上でフェルプス氏は「今最も急がれることは全ての選手を1回に同じ方式でテストできる方法を見いだすことだろう」「ドーピングは4年にわたり努力を続けた他の選手が勝つチャンスを奪うひきょうな行為だ。陽性反応が出れば二度と大会に出場できないようにすべきだ」と強調した。
あまりに偉大な業績を積み上げたためか、「フェルプス氏は現役に復帰するのでは」とのうわさも絶えない。これについてフェルプス氏は「ある日8歳の息子が水泳の試合に出場した時、『お父さんがもう一度水泳をやったらあの選手たちに勝てるの』と聞いてきた。それに対して私は『当然だ。ただしそれにはお父さんもいつもプールで練習しなければならない。そうなったらお前を学校に連れていく時間も、夕食を準備する時間もなくなる』と答えた。すると息子は『じゃあやらなくてもいい』と言った。復帰は絶対にあり得ない」と強調した。
金禹旻(キム・ウミン)や黄宣優(ファン・ソンウ)など若い選手へのアドバイスを求められたフェルプス氏は「水泳は長い間米国とオーストラリアがライバルだったが、今後は本当に世界の多くの国によるメダル獲得が見られるだろう」「(韓国から)若いスターたちが登場するたびにうれしく感じる。授賞式で国歌を聞くことは本当に特別な瞬間だ。そのため彼らも自分の力を証明し、そのようなチャンスを手にしてほしい」と述べた。
パリ=張珉錫(チャン・ミンソク)記者