2024年パリ五輪で「性染色体」問題が浮上しているボクシング女子アルジェリア代表のイマネ・ケリフ(25)が「人間の尊厳を損なうもの」と訴えた。
【写真】「XY染色体を持つ女子ボクサー」イマネ・カリフ(26)
AP通信が5日に報じたところによると、ケリフはインタビューで「全世界のすべての人々に対し、選手たちへのいじめを自制するようお願いする。これは人を破壊し、精神を殺す恐れがあることだからだ」と語ったとのことだ。
パリ五輪ボクシング女子66キロ級に出場したケリフは、ボクシング女子57キロ級の林郁婷(リン・ユーチン、28)=台湾=とともに今大会で大きな問題になっている。国際ボクシング協会(IBA)は昨年の世界選手権でケリフと林郁婷に「一般的に男性を意味するXY染色体を持っている」として失格処分を下したが、両選手とも今回の五輪に出場している。IBAは昨年、八百長試合などで国際オリンピック委員会(IOC)の懲戒処分を受けたため、今回の五輪ボクシングはIOC傘下機構のパリ2024・ボクシングユニット(PBU)が管掌している。IOCは「染色体だけで性別を決めることはできない」として両選手の五輪出場を認めた。IOCのトーマス・バッハ会長は「両選手は明確に女子選手と定義できる。この女性たちを女性として、人間として尊重してほしい」と語った。
ケリフは「IOCが正義の仕事をしたことを知っている。この措置は真実を示している」と言った。ただし、「ドーピング検査以外の検査を受けたか」という質問には、「それについては話したくない」と回答を拒否した。
また、ケリフは「メダルを取るためにここに来たので、誰の意見も気にしない。より良くなるために競争するだけ。交流サイト(SNS)などから選手たちを管理するメンタルヘルス・チームがあるので、SNSもしていない」とも語った。ケリフは4日、ハンガリーのアンナルツァ・ハモリ(23)に勝って準決勝に進出したことについては、「うれしかったが、同時に自分をコントロールすることができなかった。正直言って(議論に関する)マスコミによる強風は全く簡単なことではなく、人間の尊厳を損なうものだった」と述べた。同日の勝利で、ケリフはアルジェリアにとって今大会初のメダリストであり、史上初のボクシング女子五輪メダリストとなった。五輪ボクシングでは準決勝の敗者全員に銅メダルが渡される。
ケリフは準々決勝後、アルジェリア放送とのインタビューで、「この問題はすべての女性の尊厳と名誉にかかわる。アラブ国民はここ数年間の私のことを知っている。IBAは私を不当に扱ったが、神は私の味方だ」と語った。
ケリフと共に性染色体をめぐり議論を呼んでいる林郁婷も4日(現地時間)、パリ五輪ボクシング女子57キロ級準々決勝でスベトラーナカメノバ・スタネバ(34)=ブルガリア=を破って準決勝に進出し、銅メダルが確定した。だが、相手のスタネバは試合が終わると両手の人差し指を交差させて「X」の形を作り、議論を再燃させた。スタネバは行動がどんな意味なのかを説明していないが、スタネバのコーチは「林郁婷の出場可否を語れる医療関係者ではないが、林郁婷が(男性染色体である)XY染色体を持っているなら、ここにいてはならない」と述べた。
ケリフは7日(韓国時間)、ジャンジェン・スワンナペン(23)=タイ=と五輪ボクシング女子66キロ級準決勝で対戦する。スワンナペンは昨年の世界選手権でケリフの失格により決勝に進出し、銀メダルを獲得している。
カン・ウソク記者