「韓国国内にスパイは何人いるの?」 韓国情報機関で30年勤務したハ・ドンファンさんに聞いてみた

国際スパイ博物館で座談会…およそ300人の聴衆、20近い質疑応答

 ハさんは「北朝鮮のスパイ活動は、反体制派の人物を暗殺したり、韓国の政治・社会・経済の各分野でスパイ組織を結成し、絶えず世論を操作して国論を分裂させたりするというやり方で行われる」「多くの人が、南は親北イデオロギーを拡散させにくい社会だと思っているが、スパイたちは巨額の工作資金を受け取っている。水面下では多くのことが実際に起きている」と語った。講演の最後にハさんは「この仕事をしていて、米国政府の支援と協力に常にありがたく思っていた」と語った。その上でハさんが「6・25参戦勇士の父に、米国に行くことを話すと『70年前に私たちを助けてくれてありがとうという言葉をぜひ伝えてほしい』と言っていた」と述べ、腰を90度折り曲げてあいさつすると、スタンディングオベーションが起きた。

 ハさんはこの日の講演後、本紙の取材に応じ、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に当時の進歩(革新)系与党「共に民主党」主導で法改正が行われ、今年1月から対共捜査権が国情院から警察に移管されたことを指摘した。ハさんは「私は、中ではスパイを捕まえる一流捜査官だったかもしれないが、組織の外では世間の物情を知らない頭の悪い人間だった」とし「スパイの捜査権が政争の対象になるだろうとは夢にも思わなかった。初恋の相手が安楽死したような気分」と語った。

 ハさんは「60年以上も蓄積してきたスパイ捜査のノウハウを一晩でさっと渡してやることは不可能で、警察も望んでいたわけではない」とし「巨額の予算と時間が必要」と語った。「実家」といえる国情院についても「スパイを一生懸命捕まえるだけで、国民にこのことを伝えるのは不十分だった」「スパイの存在は国情院も、スパイも、北朝鮮もみんな知っているのに韓国国民だけがよく知らないという状況が『まさか今の世にスパイがいるなんて』という安易な意識につながった」と苦言を呈し「早くも今年から、スパイ検挙のニュースが聞こえてこないという」「捜査の空白を埋めるため、米国の連邦捜査局(FBI)のように政治の風に揺るがない独立官庁が捜査を専担するのがよい」と語った。

ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員

【写真】国際スパイ博物館が公開した北朝鮮工作員関連の展示物

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  • ▲米国ワシントンの国際スパイ博物館で最近開かれた座談会において、ハ・ドンファン元国情院大邱支部長(写真左)と歴史学者のアンドルー・ハモンド博士(同右)がステージ上で着席している様子。/ワシントン=金隠仲特派員
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