世界銀行はこのほど、韓国は「中所得国の罠」を克服し先進国へと飛躍した「世界的な模範事例」だという分析を示した。中所得国の罠とは、開発途上国が中所得国入りした後、高所得国へと発展できず、成長が停滞する現象を指す。
世界銀行は1日、「中所得国の罠(middle-income trap)」と題する報告書で、「韓国の1人当たり国民総所得は1960年には1200ドルにも満たなかったが、昨年は3万3000ドルに迫った」とし、韓国を「成長のスーパースター」「全ての中所得国の政策立案者が必ず熟知しなければならない必読書だ」と評した。
報告書は韓国の目覚ましい経済発展を奇跡に例えたノーベル経済学賞受賞者ロバート·ルーカス・シカゴ大教授教授の発言を紹介したのに続き、「韓国が25年間で成し遂げた成果を今の中所得国が50年で達成したとしても奇跡だ」と指摘した。
今回の報告書は276ページから成り、中所得国の成長がどんな過程を通じて停滞するのか、それを克服するためにはどんな戦略を立てるべきかに触れている。世界銀行の分類によると、中所得国とは1人当たり国民総所得(GNI)が1136~1万3845ドルの範囲にある国だ。現在108カ国が中所得国に分類される。1990年から34年間で34カ国が中所得国から高所得国へと成長した。
■投資、技術、革新の「3i戦略」 韓国が模範
報告書は中所得国の罠を克服するために、投資(investment)、技術導入(infusion)、革新(innovation)の3要素が全て必要になるという「3i戦略」を提示した。低所得段階では大規模投資を誘致して成長を始め、中所得国の段階では海外からの技術導入と技術革新で高所得国へのハードルを超えるというものだ。
韓国は「3i戦略」を模範的に採用した事例として紹介された。報告書には「韓国(Korea)」という単語が100回も登場した。「成長のスーパースター韓国:韓国はどのように海外のアイデアと革新を活用したのか」というタイトルの分析も掲載された。
報告書によると、韓国は経済成長の第一段階である「投資」から成功を収めた。1950~60年代から輸出奨励で開放を優先し、世界市場で韓国企業を競争に参加させた。
中所得国となった後も、韓国政府は「技術導入」に全力を尽くした。研究開発(R&D)に対する税制優遇、技術教育に対する直接投資などで企業の生産性を最大化した。報告書は「韓国は人的資源に大規模な投資を行い、発展に必要な技術の供給と雇用創出が歩調を合わせた。韓国より豊かな国と比べても効果的な政策だった」と絶賛した。
■災い転じて福となした通貨危機
世界銀行は韓国で最終段階の「革新」が1997年の通貨危機当時に進んだと分析した。当時韓国は全国家的危機を克服するために金融と財閥企業に対する包括的な改革を推進したが、それが企業間の談合の慣行を減らす契機になり、韓国経済に「災い転じて福となす」効果をもたらしたとの指摘だ。
報告書は韓国のほかにポーランドとチリも成功例に挙げた。冷戦時代、社会主義計画経済体制だったポーランドは1990年代以降、巨大国有企業を改革して革新を成し遂げた。チリは1960年代まで輸出の80%を占めていた鉱業の割合を減らし、技術革新企業を支援した。結局、韓国とポーランド、チリが高所得国になれたのは、「革新」を成し遂げることができたからだという分析だ。
権純完(クォン・スンワン)記者