2カ月で弾劾案7件・特別検察官法9件を提出した共に民主党【8月2日付社説】

 韓国放送通信委員会の李真淑(イ・ジンスク)委員長就任翌日の1日、野党・共に民主党は李真淑委員長の弾劾訴追案を提出した。現政権発足後、放送通信委員長に対する4回目の弾劾訴追案だ。李東官(イ・ドングァン)元委員長は就任から3カ月、金洪一(キム・ホンイル)元委員長は6カ月で弾劾訴追案が提出されたが、今回は就任からわずか1日で弾劾訴追案が提出された。憲政史上前例のない事態だ。

【表】第22代韓国国会で共に民主党が推進した弾劾案

 憲法上、弾劾訴追を行うには職務執行中の重大な憲法違反、法律違反がなければならないが、李真淑委員長はわずか1日で弾劾されるほど重大な不法行為でもあったのだろうか。共に民主党は李真淑委員長と金泰圭(キム・テギュ)常任委員が前日MBC放送の大株主である放送文化振興会とKBS放送取締役選任を議決したことを「不法」と主張している。常任委員5人からなる放送通信委員会が2人態勢で決めたことを問題視したのだ。しかし裁判所の判例は2人態勢での議決について「懸念はするが違法ではない」としている。共に民主党が主張する不法の根拠は不明確だが、弾劾案を強行する背景には、多少強引な手を使ってでもMBCを守ろうとする政治的な目的以外に説明のしようがない。

 大韓民国建国以来、文在寅(ムン・ジェイン)政権までの70年間で弾劾案は合計70回提出された。ところがここ2カ月間で共に民主党が弾劾案を提出した回数は7回だ。放送通信委員会関連の3件以外では李在明(イ・ジェミョン)前代表らの捜査を担当した検事4人に対する弾劾案だった。共に民主党が掌握している本会議で弾劾案を取りあえず成立させれば、憲法裁判所の決定が出るまでその公職者の職務は停止となる。韓国行政安全部(省に相当)の李祥敏(イ・サンミン)長官は憲法裁判所で弾劾が棄却されるまで167日にわたり何もできなかった。李真淑委員長が辞任せずに憲法裁判所の決定を待つのであれば、今後数カ月にわたり放送通信委員会は何もできない状態となる。放送通信委員会による通信やインターネット関連の政策もストップするだろう。検事弾劾案が成立すれば、李在明前代表の捜査や裁判にも支障が出る恐れがある。

 共に民主党の全賢姫(チョン・ヒョンヒ)議員は「国家権益委員会は金建希(キム・ゴンヒ)氏によるブランドバッグ疑惑に免罪符を与えた」として「権益委員会・尹錫悦(ユン・ソンニョル)・金建希特別検察官法」を提出した。尹大統領を捜査対象とする特別検察官法はこれが初めてだ。ここ2カ月間に共に民主党など野党が提出した特別検察官法は9件に上る。海兵隊員特別検察官法、金建希氏特別検察官法に加え李在明前代表と関連する北朝鮮への不法送金事件を捜査する検事らを捜査するための特別検察官法まで提出した。その一方で特別検事の推薦権は共に民主党が持つと主張している。「共に民主党検事」を使って政治捜査をやりたいのだ。

 弾劾や特別検事は本来なら重大な事由があったときに限り、非常に例外的に行うべきものだ。共に民主党と野党はここ2カ月間に弾劾案7件、特別検察官法案9件を提出した。ある日は弾劾、ある日は特別検事という形だ。この2カ月間に与野党が合意して成立した生活関連法案は1件もない。共に民主党は数の力で掌握した立法権を政略にしか使っていないのだ。

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  • ▲ソウル汝矣島の国会で放送通信委員会の李真淑(イ・ジンスク)委員長弾劾訴追案を議案課に提出する(左から)基本所得党の竜慧仁(ヨン・ヘイン)代表、祖国革新党の李海珉(イ・ヘミン)議員、共に民主党のキム・ヒョン議員、進歩党のユン・ジョンオ議員。1日午後撮影。/国会写真取材団
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