韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」が、下着大手サンバンウルの対北送金事件の共犯として李在明(イ・ジェミョン)前代表を起訴した水原地検の部長検事を高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に告発した。「起訴状に虚偽事実が含まれていた」というのが理由だ。しかし、起訴内容が正しいか間違っているかは裁判で扱う問題であって、国会議員が判断すべき事案ではない。被告人側が起訴状を書いた検事を告発するというのは、司法史に前例を見いだし難い。李・前代表関連の司法手続きを妨害しようとする意図でしかない。
民主党が掌握した国会法制司法委員会(法司委)は、民主党の現金入り封筒事件などを捜査したソウル北部地検次長検事に対する弾劾訴追聴聞会を来月14日に開くと決定した。続いて李・前代表の事件の捜査検事3人も法司委の聴聞会に立たせる計画だ。先月の海兵隊員殉職事件特別検察官法案聴聞会で鄭清来(チョン・チョンレ)法司委員長は「どこでそんな癖をつけたのか」という暴言や「10分間退場」命令などで、軍服を着た軍人を侮辱し、嘲弄(ちょうろう)した。李・前代表と民主党の捜査を担当していた検事らも証人台に立たせて恥をかかせようとしている。
検事など公職者の弾劾訴追は、職務執行において憲法・法律に違反した場合に可能だ。ところが、保守系与党「国民の力」所属の法司委幹事は「民主党が出した違法の証拠は、四つのメディア報道が全て」と語った。民主党は、違法の証拠がないにもかかわらず、報復的な弾劾で検察に圧力をかけるつもりなのだ。
李在明・前代表は党代表選の討論会で「法廷に閉じ込められそうだった。ありもしない事件をつくって多くの時間を奪っている」と主張した。すると法司委の民主党幹事が「李在明代表と家族、同志たちを苦しめる政治検事たちの罪状を明らかにしたい」という文章を掲げてすぐに検事の弾劾聴聞会の日程を決めた。李・前代表は来月、選挙法違反事件と偽証教唆事件の結審が予定されている。民主党は裁判部を非難して「審判(判事)も選出すべき」と言ったが、判事たちまで弾劾して国会に呼び出し、圧迫しようとするかもしれない。
民主党は7月31日午前、李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長が新たに就任するなり、同日午後に弾劾訴追案を発議するとした。職務の上で違法に及んだ事件がなかったのに弾劾するというのだ。民主党の院内スポークスマンは「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の人材プールが枯渇するまで(弾劾を)やる」と発言した。弾劾を政略に利用するつもりだという意向を隠しもしない。行政府をけん制するために与えられた弾劾訴追権を報復と防弾、脅迫、政略に悪用し、常識外れの暴走を繰り返している。