「韓国政府が日本の佐渡金山のユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産登録に同意する過程で『強制労働』の文言を除くことに同意した」という一部報道に対し、韓国外交部(省に相当)は29日、「事実無根」として強く反発した。強制性の表現問題は、2015年に「軍艦島」を含む明治産業施設が世界遺産として登録された際、既に整理された事案であって、今回の交渉の重点ではなかったのだ。
論争になった報道は、前日に日本で出たもの。読売新聞は「『佐渡島の金山』(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を巡り、日韓両政府は朝鮮半島出身者を含む労働者に関し、現地の展示施設で『強制労働』に関する文言を使用しない一方、当時の暮らしぶりなどを説明することで事前に折り合った」と報じた。これを引用して韓国国内の一部メディアも「韓日政府が事前に『強制労働』という表現を使用しないことで合意したと伝えられた」と報じた。
これに関連して韓国外交部の当局者は「強制性の表現問題は、軍艦島などの登録時、既に整理された」とし「今回は、日本が(強制性の表現を)履行し得る担保を取ることに集中し、表現を巡って日本と協議したことはない」と述べた。
2015年のユネスコ世界遺産委員会で、日本代表団は「1940年代に数多くの韓国人が自己の意思に反して動員され(brought against their will)、過酷な条件下で労働を強いられた(forced to work under harsh conditions)という点を伝えるようにしたい」と述べた。一方、27日の佐渡金山登録時、同委員会の日本政府代表団として登場した加納雄大・駐ユネスコ日本大使は「日本政府は、これまでユネスコ世界遺産委員会で採択されたあらゆる関連決定とこれに関する日本の約束を肝に銘ずる」という趣旨の発言を行った。
軍艦島登録時と違い、今回は「強制」に関連する明示的言及はなかったが、外交部は「日本の今回の発言に、(強制労役を認めた)過去の約束をそのまま引き継ぐという意が含まれている。この発言自体が韓日交渉の結果物」だとした。佐渡金山合意そのものが、日本側がこうした過去の約束を継承し、きちんと履行しなければならないという前提の上で実現したものなのだ。
金真明(キム・ジンミョン)記者