「朝鮮人労働者」関連の展示物を作った佐渡金山、世界遺産に登録決定…「強制労働」とは明記せず

 佐渡金山の坑道から約2キロの場所にある相川郷土博物館の展示には、第2次世界大戦中に「国民徴用令」が韓半島に導入され、1945年まで佐渡金山に約1000人以上の韓半島出身労働者がいたと紹介されている。また危険な坑道内部の作業に朝鮮人は日本人以上に多く従事し、食糧が足りず死亡事故も起こるような環境で働いたとも記載されている。朝鮮総督府が関与する「官による斡旋(あっせん)」の形で募集があった事実も明記された。博物館は合計五つの展示室で構成されているが、うち一つの展示室の一区画で当時の朝鮮人労働者の過酷な労働環境などが紹介されている。日本側は案内冊子なども観光客に提供し、毎年開催される佐渡金山労働者追悼式にも韓半島出身者を含めることにした。

 ただし展示物には朝鮮人労働者が強制的に労働させられたとは明記されていない。2015年にいわゆる「軍艦島」を含む明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録される際、日本政府は「強制労働が行われた」と表現したが、それに比べると今回はかなり後退したとも言える。日本の岸田文雄首相は「佐渡金山は欧米の機械化に匹敵する日本独自の技術の精髄だった」として朝鮮人の強制労働問題には一切言及しなかった。そのため韓国野党・共に民主党などからは「歴史を忘却した政府」などの批判が相次いでいる。

 加納大使は「WHCで採択された関連する全ての決定と、これに関する日本の約束を忘れない」という趣旨の発言を行ったが、韓国外交部のある幹部はこの発言について「(強制労働を認めた)以前の約束をその通り受け継ぐという意味合いが込められている」との見方を示した。この見方は加納大使の発言そのものが「(韓日)交渉の結果」であり「一連の発言は世界遺産委員会の決定文に脚注の形で含まれているため、決定文の一部と見なされる」という意味だ。韓国外交部(省に相当)の趙兌裂(チョ・テヨル)長官は「(日本が)韓国政府と緊密に意思疎通を行い、誠実な態度を今後も引き続き示すことを期待する」と述べた。

金真明(キム・ジンミョン)記者、東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

【Photo】朝鮮人労働者関連の展示物が設置された佐渡島の相川郷土博物館と行き方案内図

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