「皆勤乞食」【萬物相】

 学生時代、皆勤賞は当然もらうべきものだと信じ切っていた。学校の教師たちからは、多くの賞の中でも特に皆勤賞が最も貴重な賞だと教えられていた。欠席や遅刻、早退することで精勤にでもなろうものなら、学校生活に汚点が残るとも考えた。仮病を使うと「風邪を引いてでも学校に行け」という言葉を耳にたこができるほど聞かされた。おかげで小・中・高校の12年間で欠かさず皆勤賞を受賞した。

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 最近、学校では家族旅行などの理由を明らかにすることで、一定期間は校外体験学習として認められる制度がある。2007年に導入された同制度のおかげで、欠席に対する不安もなく、子どもとさまざまな目的で時間を過ごすことができる。校外体験学習は該当学年の授業日数の10%以内で使用できる。年間で計算すると15-19日程度だ。祖父の祭祀(さいし)や親戚の結婚式といった家族行事に参加することも、授業に参加するのと同じくらい素晴らしい教育だという趣旨から設けられた制度だ。時代が変わり、最近は出席そのものにこだわりを持たなくなったのだ。皆勤賞そのものも消えつつある。代わって生活記録簿(通知表)に「皆勤」とのみ記録される。

 米国では、生徒たちの欠席日数が大幅に増えており、社会問題化しているというニュースを耳にした。公立学校の生徒の26%が全登校日の10%以上、すなわち18日以上を常習的に欠席しているというのだ。一部の上流層は家族旅行に出掛けるために、低所得層は通学環境が良くないなどの事情により、欠席するケースが増えているという。これに伴い「朝起きて通学バスに乗り、授業時間に合わせて登校するという毎日の習慣」に、根本的な変化が生じるのではないかといった懸念の声が上がっている。

 韓国社会では、学期中に体験学習に行かず毎日こまめに登校する生徒たちは「皆勤乞食」と言われ、冷やかしの対象となっているという記事を目にした。「皆勤乞食」とは、学期中に海外旅行に行けない、家計の苦しい子どもたちを意味しているという。しばらくの間、新型コロナウイルス感染症により海外旅行は減少したものの、最近増え始め、再び「皆勤乞食」という言葉がはやり出したという。最近ある海外メディアは、友人たちにこの話を聞かされ、泣いている小学4年生の息子をなだめるために、安価な海外航空券をチェックしているという韓国の父親の話が紹介された。

 このような話は一部の学校、ごく一部の生徒の話を誇張させたものである可能性が高い。家族と旅立つ海外旅行も教育的だが、生徒が誠実に登校して勉強し、友人と友情を築き上げるという価値観に取って代わることはできない。「皆勤」は古い石器時代の遺物ではない。「皆勤」という単語に見え隠れしている誠実、責任、忍耐、規則順守といった徳目に対する価値は、時代によって変化するものではないためだ。

キム・ミンチョル記者

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