「うわぁ、ビックリした!」 ソウルの道端に謎のマネキン…見向きもされない心肺蘇生法無人体験コーナー

ソウル市内25カ所に1.6億ウォンかけ「体験の場」…利用者ほぼゼロで機器の不具合も

 「うわぁ、ビックリした! 誰かが寝ているのかと思った!」

 今月18日夜7時、ソウル・光化門のあるバス停留所。停留所の横に置かれている人の上半身をかたどったマネキンを見て、バスから降りた30代の女性が驚いて叫んだ。記者が近づいてよく見たところ、ソウル市消防災害本部が昨年9月に設置した「心肺蘇生法キオスク」だった。いつでも心肺蘇生法の練習ができるように設けられた一種の「無人体験場」だ。公衆電話ボックスほどのスペースに、スクリーンとマネキンがセットになって置かれている。スクリーンで心肺蘇生法を学んだ後、マネキンの胸部を圧迫して練習するものだ。

【Photo】道端の「心肺蘇生法キオスク」でマネキンと向き合う本紙記者

 昨年9月に光化門に2台設置して試験運用を開始し、今月11日にソウル市内の25カ所に追加設置された。広津区のソウル子ども大公園、九老区のソウル市50プラス財団、西大門区の市立西大門青少年センターなどにある。心肺蘇生法キオスクを市内の各地に設置するのはソウル市が初めてだ。1セットの価格は600万ウォン(約67万円)で、計1億6200万ウォンかかった。

 しかし、実際にこのキオスクを利用する人は見かけられなかった。光化門駅の心肺蘇生法キオスクを20分間見ていたが、誰も目をくれなかった。会社員のキムさんは「毎日その前を通っているが、心肺蘇生法を体験する場だとは知らなかった」と語った。チェさんは「大勢の人が行き来する道端で、みんなに見られて様子を伺いながら心肺蘇生法の練習をする人がいるだろうか」と言った。

 城東区市立城東青少年センターの心肺蘇生法キオスクは3階のエレベーター前に設置されていた。19日に同センターに行き、30分間見ていたが、利用者は1人もいなかった。

 設置しておきながら、管理が不十分な所もあった。光化門のセムナン教会近くにあるキオスクは「1! 2! 3!」という音声案内は出るが、スクリーンは使えなかった。

 インターネット・コミュニティー・サイトには「路上のあのマネキンはいったい何なんだ?」「夜中に見たら鳥肌が立つ。おぞましいにもほどがある」「誰が道端でこういうものを見て、やってみようと思うだろうか」という声が寄せられている。

 西江大学公共政策大学院のイ・ジョングァン教授は「いくら良い趣旨で設置しても、市民が知らなければ政策としては失敗だ。場所や需要などの事前調査を十分にした上で、どのように広報すべきかよく考えるべきだった」と語った。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者

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