リ・イルギュ元駐キューバ北朝鮮大使館政治参事は7月14日、本紙のインタビューで、北朝鮮とロシアが最近「包括的・戦略的パートナー関係に関する条約」を締結したことについて「韓半島の安全保障を脅かす重大な要素であることは事実だが、あの条約を信じて金正恩(キム・ジョンウン)が韓半島(武力)平定を決心するだとか、プーチンがそんな金正恩の決心を支持したり後援したりすることは起きないだろう」と語った。
リ元参事は「プーチンも明白に語ったように、条約には『侵略を受けたとき』という条件が付いている」とし「裏を返せば、軍事衝突が実際に起きたら即刻・無条件の支援を行うわけではなく、衝突の背景を分析してみて決定するつもりなのだ。韓半島で戦争が起きたら24時間以内に全てが終わってしまうはずなのに、いつ分析していつ支援するのか」と指摘した。その上で「結局、(ロシアが)北朝鮮を適当に丸め込み、ウクライナ戦争でもっと多くの武器・装備の提供を受ける名分をつくるためのものにすぎないと思う」と語った。
リ元参事は、条約の名称が「同盟」ではなく「パートナー」である点も注視すべき部分だと語った。リ元参事は「明らかに北朝鮮は同盟を主張したはずで、ロシアはパートナー程度とすることにこだわっただろう」「北朝鮮との関係を全方位的に、永久的に拡大発展はさせないというロシアの意図を見ることができる」と説明した。
リ元参事は、北朝鮮における対ロシア、対中国関係を「水道の栓」になぞらえた。「中国は水が毎日ちょろちょろと、絶えず出る水道で、ロシアはときどき水が出るが、一度出るとざーっとほとばしる水道」「ときどき水がざーっと出る水道を信用してちょろちょろ出る水道を切ることはできないが、毎日ではないものの一度出たら数日分の水が出る水道も、決して放棄はできないではないか」とリ元参事。
また、北朝鮮住民はロシアよりも中国に対する好感度が高いという。リ元参事は「政権だけでなく住民も、中国の方を血盟と見なしている」とし「北朝鮮住民の間では、1990年代の東欧社会主義陣営諸国の崩壊と旧ソ連体制の没落が北朝鮮に『苦難の行軍』のような危機をもたらしたという認識が強い」と語った。
キム・ミンソ記者