北朝鮮のキューバ駐在外交官 昨年韓国に亡命=国交樹立影響か

【ソウル聯合ニュース】キューバ駐在の北朝鮮外交官が昨年亡命し、韓国に入国していたことが、16日分かった。

 韓国政府筋によると、この外交官は在キューバ北朝鮮大使館のリ・イルギュ参事官で、昨年11月に妻子を伴って韓国入りした。

 リ氏は2度にわたりキューバで勤務した北朝鮮外務省を代表する「南米通」。職務評価などを巡って外務省本部と対立したことで脱北を決心したとされる。

 当時は韓国とキューバが国交樹立を前に水面下で協議していた時期で、このような動きが脱北に影響を及ぼしたかも注目される。キューバは北朝鮮の「兄弟国」と呼ばれるほど伝統的な友好国だが、今年2月に韓国との国交樹立を発表した。

 韓国大手紙の朝鮮日報は、リ氏が脱北前まで大使館で韓国とキューバの国交樹立を阻止する任務を担っていたと報じた。

 北朝鮮外交官の脱北が確認されたのは、2019年7月のチョ・ソンギル駐イタリア大使代理、同年9月のリュ・ヒョヌ駐クウェート大使代理以来となる。 

 新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)が収束したことにより北朝鮮の海外駐在員の交代が行われ、各国にいたエリート層の脱北が再び始まった。

 韓国統一部によると、昨年のエリート層の脱北者は10人前後で、17年以降で最大規模を記録。国境封鎖により、昨年韓国に入国した脱北者の人数が17年の6分の1に減少した中でも海外駐在員の脱北は続いた。

 一方、リ氏は朝鮮日報のインタビューで、北朝鮮の米国担当次官だった韓成烈(ハン・ソンリョル)氏が米国のスパイ疑惑をかけられ、2回目の米朝首脳会談直前の19年2月中旬に外務省幹部らの立ち会いの下で銃殺されたと主張した。

 また、李容浩(リ・ヨンホ)元外相は在中国大使館を巡る贈収賄事件に関与したとして19年12月に一家で政治犯収容所に送られたと明らかにした。

 韓国情報機関の国家情報院は昨年1月、李容浩氏が処刑されたとみられるとした読売新聞の報道に対し、「粛清は確認されたが処刑されたかどうかは確認されていない」と説明していた。

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