ダムの建設が推進されていたものの環境団体と住民の反対により建設が取りやめになった地域で、この夏大規模な洪水が発生していたことが分かった。予定通りダムを建設していれば水害を防げたはずだとの指摘が出ている。
韓国環境部(省に相当)が14日に明らかにしたところによると、最近豪雨に見舞われ水害が発生した忠清地域には、かつて上村ダムと枝川ダムという二つのダムが建設される予定だった。これらのダムは2012年に李明博(イ・ミョンバク)政権の「ダム建設長期計画」に基づいて推進されたが、18年に文在寅(ムン・ジェイン)政権の「国家主導ダムの建設中断」発表などをきっかけに建設が白紙化された。
上村ダムは、忠清北道永同郡の草江川付近に建設される予定だった。総貯水量1900万トン、洪水調節容量は300万トンという計画だった。しかし、「4大河川事業」以降、大規模な土木事業に反対していた文政権は、上村ダムを含め長期的に計画されていたダム建設を全て中止した。さらに環境団体などによる反対も建設中止を後押しした。忠清地域で梅雨が始まった先月23日から現在までに、永同郡には428.5ミリの雨が降った。忠清地域では梅雨の全体降水量が平年360.7ミリだが、これをはるかに上回る量の雨が降ったのだ。特に今月6-10日には忠清地域に停滞した梅雨前線の影響で、5時間で120ミリの集中豪雨に見舞われ、河川が氾濫して1人が行方不明になったほか、京釜線・嶺東線の列車が運行を見合わせた。予定通りに上村ダムが建設されていれば上流で水を貯めておけたため、下流での被害を最小限に抑えることができたはずとの分析が示されている。
忠清南道青陽郡で建設が計画され、その後白紙になった「枝川ダム」周辺でも今年、洪水が発生した。枝川ダムは総貯水量2100万トン、洪水調節容量400万トンになる計画だった。このダムの影響圏にあった忠清南道扶余郡は今月8-9日の夜間、1時間に100ミリ超の集中豪雨に見舞われ、貯水池の堤防が崩壊して住宅5棟が浸水した。扶余郡では2021年から今年にかけて3年連続で水害が発生している。仮に予定通り枝川ダムが建設されていれば、枝川の水位は下がり、堤防の崩壊も防げたと専門家らは口にする。
2020年から今年にかけては、韓国で大規模な水害が3件も発生した。20年には中部・南部地方、昨年と今年は忠清地方と南部地方を中心に洪水が発生している。環境部は昨年の洪水を機に約10カ所で新たなダムの建設と改修を進める方針を示したが、現段階で対象地域は発表されていない。
パク・サンヒョン記者