中国の男性が、映画『アイアンマン』のワンシーンをまねて磁石で体内に埋まった金属片を取り出そうとして失敗し、病院の救急外来で手当てを受けたことが分かった。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストなどが8日(現地時間)、報じた。
報道によると、中国・湖北省武漢市の工場で先月23日に爆発事故が発生し、男性の太ももに金属片が刺さった。破片は皮膚を貫いて奥まで入り込み、男性の太ももには大小五つの穴ができた。しかし、男性は病院に行く前に、映画『アイアンマン』で主人公トニー・スタークが電磁石で金属片を除去するシーンを思い出した。そこで男性は強力な磁石を用いて太ももに入り込んだ金属片を取り出そうとした。
しかし悪戦苦闘している間に太ももの痛みが悪化したため、男性は結局、武漢市普仁病院の救急外来を訪れた。CT検査の結果、男性の右太ももと膝関節の中に四つの金属片が埋まっていることが確認された。医療陣はこれを全て除去し、損傷した筋肉、靱帯、神経を治療した。
医療陣は、男性のように強引に破片を除去しようとした場合、逆に傷口の感染や内部組織の損傷のリスクが高まると警告した。異物によるけがは、金属やガラスの破片、木のとげなどによって皮膚表面に傷が残るケースが多いが、体の内部に深く入り込むこともある。異物が皮膚や筋肉組織に入り込むと表面の傷口は閉じるが、患者が強い磁石を使って金属片を取り除こうとすれば筋肉組織が部分的に飛び出すだけで、取り除くのが難しいばかりか筋肉組織が圧迫されてさらに別のけがをする可能性が高い。
医療陣は「磁石を用いて体内の金属を取り出そうとしても、成功することはほとんどなく、逆に別のけがを招く恐れがある」として「このような事故が発生したら、自分で解決しようとするのではなく、すぐに医療機関で手当てを受けるべき」と指摘した。また「異物と接する機会が多い作業場では、保護用の眼鏡や保護服など適切な保護装備を着用し、けがのリスクを減らさなければならない」と警告した。
このニュースが中国のSNS「微博(ウェイボー)」などで伝わると「こんな方法が有効なら病院は潰れてしまう」「人間の体は段ボールや木とは違う。映画と現実を混同してはいけない」などの反応が見られた。
イ・ヘジン記者