中国の電子商取引(EC)プラットフォームであるアリエクスプレス、TEMU(テム)、SHEIN(シーイン)の3社が猛烈な攻勢をかけている。昨年全世界の消費者が最も多く利用した国際ECプラットフォームは米アマゾン(シェア24%)だったが、2~4位はアリエクスプレス(16%)、SHEIN(9%)TEMU(7%)で、3社の合計シェアはアマゾンを上回る。韓国では今年第1四半期(1~3月)のに中国系ECの利用が前年同期比で54%も増え、海外通販の利用に占める中国系ECの割合は過去最高の57%を記録した。
中国系ECの攻勢をどう見るべきか。中国系ECプラットフォームや決済システムを研究する同徳女子大グローバル地域学部のソ・ボンギョ教授は「世界のECプラットフォーム市場で米中の覇権争いが激しく繰り広げられている状況から一連の現象をとらえるべきだ」と指摘した。
■中国系ECの攻勢
-中国系ECはなぜ韓国に押し寄せたのか。
「韓国のEC市場は競争が非常に激しい『レッドオーシャン』市場だ。中国のEC企業としてはそれほど魅力的ではない。むしろ、世界最大の消費市場という象徴性がある米国、成長の可能性が高く、従来の流通システムが立ち遅れている東南アジアや南米などの開発途上国が中国系ECの主なターゲットだ。ただ、韓国は地理的に近く、世界進出において無視できない市場だとみて攻略している」
-開発途上国での中国系ECの攻勢は?
「東南アジアを例に挙げたい。東南アジアではショピー(shopee)やラザダ(Lazada)など現地ECプラットフォームのシェアが高い。ところが、中国のインターネット企業、騰訊(テンセント)がショッピーの親会社の株式39.7%を保有。TEMUの親会社拼多多がショッピーの株式16.5%を保有している。アリエクスプレスの親会社であるアリババはラザダの株式83%を保有している。表面的には現地のプラットフォームだが、実際の出資構造を見れば中国系だ。もちろん中国系ECブランドの名前でも直接参入している」
-米国市場はどうか。
「従来の米系プラットフォームが掌握しているため、参入は容易ではない。昨年米国で最大のECプラットフォームはアマゾンでシェアは37%に達する。それをウォルマート(6.4%)、アップル(3.6%)、イーベイ(3.0%)など米国企業が追っている。ただ、アリ、TEMUなども無料キャンペーンなどでアプリのダウンロードが大幅に増え、アプリ新規ダウンロード件数ベースでは大きく成長している」
-中国系ECはなぜ世界攻略に乗り出したのか。
「中国はEC分野で相対的に後発だった。しかし、昨年の中国系ECの売上高は1兆616億ドルで、規模だけ見れば2位米国(6695億ドル)の2倍近い市場に拡大した。中国の国内市場で確保した競争力を土台として、積極的に海外に進出しているのだ。しかし、世界のEC市場はこれまで米国が主導していたので、EC市場を巡り、米国と覇権争いを繰り広げざるを得なくなった」