【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は8日、朝鮮中央通信を通じて公表した談話で、韓国が2018年の南北軍事合意により中断していた陸上・海上の緩衝区域内での砲射撃訓練を再開したことについて「共和国の国境付近にさらに接近して強行される韓国軍隊の無分別な実弾射撃訓練がどのような危険を内包しているかは誰にとっても明白だ」としながら「情勢激化の挑発的行動」であり「自殺的な客気(無謀な勇気)」と批判した。
また与正氏は、先月に韓国と米国、日本が複数領域で実施した共同訓練「フリーダム・エッジ」について、「地域に対する軍事的支配を狙った米国と敵対勢力の蠢動(しゅんどう)が危険な境界線を越えているということを如実に示した」として「一触即発の危機がはびこる状況」と主張した。
同氏は「最悪の執権危機」に追い込まれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、「地域で絶えず安全保障の不安をつくり出し、戦争の雰囲気を鼓吹し、さらには危険千万な国境一帯での実弾射撃訓練もためらわずにいる」として南北の対立をあおった。
その上で、尹大統領の弾劾訴追を求める国民請願が100万人を超えたことに言及。「国民が選んだ大統領が韓国の運命を七星板(人を拷問する際に乗せる木の板)にのせたという事実をもはや誰もが認めざるを得ない」と強調した。
続けて「朝鮮民主主義人民共和国の主権を侵害したり宣戦布告になるような行動を取ったりとわれわれの基準で判断される場合、共和国憲法がわれわれの武装力に与えた使命と任務は直ちに遂行されるだろう」と威嚇した。
与正氏の今回の談話は、北朝鮮住民が読む朝鮮労働党機関紙「労働新聞」にも掲載された。