韓国大統領室 特別検察官任命法案可決に「憲法を蹂躙」=拒否権行使へ

【ソウル聯合ニュース】韓国で昨年発生した海兵隊員殉職事故を巡る軍の不適切対応の隠蔽や捜査妨害などについて、政府から独立した特別検察官に捜査させる法案(特検法)が4日、国会本会議で可決されたことを受け、大統領室は同日、聯合ニュースの取材に対し「違憲性のために(前国会で)再採決で否決されたのであれば、憲法に合わせて修正するのが常識であり道理であるはずだが、むしろ違憲に違憲を加えた反憲法的特検法に戻った」とし、「憲政史に恥じる憲法蹂躙(じゅうりん)を嘆く」とコメントした。

 大統領室は、同法案に対する尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拒否権再行使を既成事実化したものとみられる。

 大統領室は、特別検察官の推薦権を野党に付与した同法案は大統領の公務員任命権を侵害し、三権分立に反する違憲的法案との立場を示してきた。

 同法案は5月に任期を終えた議員による第21代国会でも最大野党「共に民主党」が単独で可決させたが、大統領の拒否権行使による再採決で5月28日に否決され廃案となっていた。

 共に民主党が今国会で改めて同法案を提出したことを受け、与党「国民の力」は演説を長時間続けて議事進行を妨げる「フィリバスター」で対抗したが、共に民主党がフィリバスターの終結を求める動議を国会議長に提出。提出から24時間後以降に行われる採決で在籍議員(定数300)の5分の3以上が賛成したためフィリバスターの終結が宣言され、同法案は強行採決された。

 今回可決された法案は、海兵隊員の殉職事件だけでなく、これに関連して派生した疑惑すべてを特別検察官に捜査させるもので、前回廃案になった法案に比べ、特別検察官を推薦する野党の権限が拡大されている。

 本会議で可決された法案は政府に送られる。大統領は法案が送られた日から15日以内に拒否権を発動できる。

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