【世宗聯合ニュース】韓国政府は3日、配当の拡大や自社株の消却などの方法で株主還元を増やした企業に対し、増加分の5%を法人税から控除するほか、小規模事業者や自営業者への金融支援を大幅に拡大するなどの政策を盛り込んだ「躍動経済ロードマップ」と「2024年下半期経済政策方向」を発表した。
短期的な経済活性化や国民生活の安定策に焦点を合わせたこれまでの経済政策方向とは異なり、崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が強調した「中長期経済ビジョン」となるロードマップをあわせて発表し、経済のダイナミズムを根本的に高めるための課題に取り組む。
企画財政部の金秉煥(キム・ビョンファン)第1次官は記者会見で「韓国経済の構造的問題に対応するための道しるべとして大きな意味がある」として、関係官庁と協力して今後詳細な対策を発表する計画だと述べた。
政府は「庶民と中産層の時代を実現する」というビジョンを掲げ、▼革新エコシステムの強化▼公正な機会保障▼社会移動性の改善――という3大目標に基づく10大課題を提示した。
革新エコシステムを強化するための主要政策としては、「資本市場のバリューアップ」を掲げた。
企業の株主還元増加分(直前3年と比べて5%超過分)に対して5%を法人税から控除し、株主の配当所得は低率分離課税することを柱とする。2000万ウォン(約230万円)以下の源泉徴収税率を14%から9%に引き下げ、2000万ウォンを超過した分に対しては従来通り課税標準区間に従い総合課税するか、税率25%で分離課税する方法から選べるようにする。
法人税・所得税・相続税のインセンティブでバリューアップにつなげる狙いだが、いずれも税法を改正する必要がある。
財界が強く要求する「筆頭株主の株式割増評価」の廃止も推進する。
中小企業を除く企業の筆頭株主は保有株式を相続・贈与する際に企業経営権のプレミアムを含めて株式価値を20%高く評価される。このため、筆頭株主の株式に相続税の最高税率50%を適用した場合、60%(50%の120%)の税率で課税され、過度な負担がかかるとの指摘が出ていた。
政府はこのほか、最短3年のスパンで推進する政策ロードマップも提示した。
現行の勤務時間制度の改善策も模索する。米国などのように特定の祝日を月曜日に移動させ土日と合わせて3連休とすることでワークライフバランスの向上を目指す。
下半期の経済政策では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により負債が膨らみ、高金利が続く中で延滞や廃業に追い込まれた小規模事業者と自営業者の支援策を前面に押し出した。
政策資金の返済期間は最大5年に延長され、事業経歴や貸出残高の条件が廃止される。5兆ウォン規模の転換保証が新設され、7%以上の高金利の融資を低金利に借り換えるプログラムの条件も大幅に緩和される。
小規模事業者の債務調整支援プログラムである「新出発基金」の規模はこれまでの30兆ウォンから「40兆ウォンプラスアルファ」に拡大し、債務調整の対象期間も今年上半期までに延長される。
また、「緊急民生安定資金」として下半期に1兆ウォンを投入。小規模事業者の電気料金・融資・借り換えの支援対象を拡大し、賃金が未払いになっている労働者への融資も支援する。低所得労働者には生活安定資金を支給する。
一方、政府は1~3月期の実質国内総生産(GDP)が高水準を示したことを反映し、韓国経済の今年の成長率見通しを2.2%から2.6%へと0.4ポイント上方修正した。経済協力開発機構(OECD)と政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)による予測と同じで、韓国銀行(中央銀行)の予測(2.5%)を小幅に上回った。
消費者物価上昇率と就業者数の増加幅は、従来の予想通りそれぞれ2.6%、23万人を維持した。