先進国で最も急速で増える韓国の債務のうち最大の弱点と指摘されているのは、自営業者や零細事業者の債務だ。所得が不安定な自営業者や零細事業者は借金返済に行き詰まると、信用不良者に転落し、再起が難しくなる。
【グラフィック】対GDP比で見る主要国の家計債務 過去10年間の増減
共に民主党の楊富男(ヤン・ブナム)国会議員が1日までに韓国銀行から提出を受けた資料によると、3月末現在で金融機関における自営業者向け事業ローンの延滞額(1カ月以上元利延滞)は10兆8000億ウォン(約1兆2600億円)だった。2009年に関連統計を取り始めて以来最高で、昨年末に比べ2兆4000億ウォン増えた。自営業者向け事業ローンの延滞率も昨年末の1.3%から3月末には1.66%へと3カ月で0.33ポイント上昇した。
経営規模が小さい零細事業者を取り巻く状況はさらに厳しい。信用保証財団中央会によると、1~5月に地域信用保証財団が借金返済に行き詰まった零細事業者に代わり銀行への返済を肩代わりした代位弁済額は1兆291億ウォンとなり、昨年同期(5911億ウォン)に比べ74.1%も急増した。
自営業者や零細事業者ががけっぷちに追い込まれたのは、2020年以降のコロナによる影響が大きかった。自営業者や零細事業者はコロナに伴う封鎖措置に持ちこたえるため、多額の借金を余儀なくされた。その後、4年が過ぎても景気がまともに回復しないまま金利が上昇し、人件費や賃料も高騰すると、これ以上持ちこたえることが難しくなっている。1~5月に店を閉店した零細事業者に支給された「黄色い傘共済金」は6577億ウォンで、昨年同期を20%近く上回った。黄色い傘共済金は小企業経営者や零細事業者の生活安定と老後保障を図るための共済制度で、零細事業者にとっては退職金的な性格も帯びる。
専門家は国全体の借金が増えることよりも、借金を返済できない脆弱階層が増えることの方が大きな問題になりかねないと指摘する。脆弱階層は借金を返済できなければ、元々低かった信用スコアがさらに低下し、正規の金融機関から借り入れを受けられなくなるほか、通信費の延滞などで日常生活が不可能になるためだ。延世大の金正湜(キム・ジョンシク)名誉教授は「債務返済能力が大幅に低下するか、再生可能性がない自営業者の債務を金融当局が『新出発基金』などを通じて積極的に再編すべきだ」と指摘した。
金智燮(キム・ジソプ)記者