6月27日午後に大阪市此花区の人口島「夢洲」を取材した。高さ20メートルの数千本以上の木の柱が際限なく続く円形の巨大構造物が建設されていた。高さ12-20メートルで幅30メートルのこの巨大リングは周囲が2キロに達する。円形で有名な米アップル本社(周囲1.6キロ)よりもはるかに大きいこの「大屋根リング」は完成すれば世界最大の木造建築物となる。巨大リング周辺には40-50台の大型クレーンが慌ただしく動き、リングの内側でもダンプカーや数十台のフォークレーンが行き来していた。展示館の工事も進行中のようだ。「せーの」という日本人作業員の声もあちこちから聞こえてきた。
【Photo】建設中の大阪万博のシンボル「大屋根」(6月27日撮影)
ここは来年4月13日に開幕する「2025大阪・関西万国博覧会(大阪万博)」の建設現場だ。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される大阪万博は6カ月間の開催期間中に2820万人の来場客を見込んでおり、最大で3兆3667億円の経済波及効果が期待されるビッグイベントだ。しかし日本国内では期待どころか「大阪だけのお祭りに転落するのでは」との懸念の声も出ている。5年に1回人類の未来を示す万博だが、それが日本では厄介者扱いされているのだ。
日本では大阪万博チケットの前売り販売が始まって200日が過ぎたが、販売数は今も予想を下回っている。今年4月時点での基準販売量は事前販売目標(1400万枚)のわずか9%で、それも企業や大阪周辺で集中的に販売されたものばかりだという。東京に住むある40代女性は「周りに大阪万博に行くという知人は一人もいない」「話のネタが大阪万博になることもない」と語る。
そのため日本の企業に事前販売チケット700万枚を押し付ける案が浮上した。事実上の強制販売だ。今年4月の朝日新聞の世論調査では「開催反対」が45%に達し、「開催賛成(47%)」とほぼ同じだった。開幕を目前に控えた状況で盛り上がりどころか、「万博中止」を訴える世論まで高まっているのだ。
さらに「建設費用の高騰」も主催者にとってプレッシャーとなっている。当初博覧会場の建設費用は1250億円と予想されていたが、現時点ですでに2350億円とほぼ2倍に達している。増加分は日本の経済団体、政府、大阪府・市が3分の1ずつ負担している。大阪市民としては単純計算で1人当たり2万円前後の建設費用を負担することになる。
さらに万博の花とも言える海外パビリオン(タイプA)も減少しそうだ。当初タイプAは60カ国ほどと予想されていたが、インド、メキシコ、エストニア、イラン、パキスタンなどがタイプAを放棄する意向を主催者側に伝えたという。しかもタイプAを放棄する国は今後増える可能性もある。建設費用の高騰が原因で最初から参加しない国、あるいは日本側が建設した建物を利用する国(タイプB)や共同館方式(タイプC)に見直す国も増えている。
このような最悪の状況でも日本政府は傍観している。当初大阪万博は大阪市長と市議会を掌握している保守系野党の日本維新の会が強く押し進めた。政権与党の自民党は大阪では日本維新の会に押されて支離滅裂になっているため、政治的な計算から万博が失敗する方が自分たちに有利と考えているという。岸田文雄首相は昨年12月に東京で開催された「大阪・関西万博 開幕500日前イベント」には出席せずメッセージを送っただけで、また建設費用については「追加の支援はない」と明言している。最近は日本の展示館建設費用の削減まで検討されているという。
大阪=成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長