共に民主党の政略手段と化した憲法上の弾劾条項で今度はMBC社長交代阻止【6月28日付社説】

 韓国最大野党・共に民主党が27日に議員総会を開き、放送通信委員会の金洪一(キム・ホンイル)委員長に対する弾劾訴追案を党論として採択した。臨時国会の会期内に弾劾案を通過させるのが目標だという。6月の臨時国会は来月4日までだ。共に民主党が弾劾を急ぐのは、MBC放送の社長交代を阻止しようとしているためだ。MBCの筆頭株主である放送文化振興会が社長を決めるが、現取締役たちの任期満了が近づき、新たな取締役陣が就任すれば、MBCの社長を交代させることができる。しかし、放送通信委員会をまひさせれば、放送文化振興会の新たな取締役陣の選任を阻止することができる。共に民主党が放送通信委員長を弾劾訴追すれば、憲法裁判所の決定が出るまで放送通信委員長の職務が停止し、現在「2人体制」の放送通信委員会がまひする恐れがある。

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 共に民主党は昨年末も李東官(イ・ドングァン)前放送通信委員長に対する弾劾を推進した。結局、就任して100日もたたない人物が具体的な法律違反の事実もないまま、弾劾を避けるために辞任するという事態が起きた。このため、放送通信委員会の業務がまひし、年内に終えなければならなかった141放送局の再許可ができなかった。

 共に民主党は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足以降、弾劾を乱発している。共に民主党の標的になったのは長官クラスだけで少なくとも8人で、大統領と首相も例外ではなかった。国務会議(閣僚)メンバー21人のうち10人が弾劾の脅威にさらされた。そして、同党は長官1人、判事1人、検事3人を実際に弾劾訴追した。解任建議案も乱発した。1987年の憲法施行以降37年間で解任案が国会を通過したのは計6回だが、そのうち半数がこの1-2年の間に共に民主党によって行われた。

 弾劾は公職者が憲法と法律に違反したときにできる最たる措置で、歴代政権ではほとんどなかったことだ。共に民主党はこの弾劾を既に5回行い、さらにもう1回追加しようとしている。検事たちの弾劾は李在明(イ・ジェミョン)前代表の「防弾(弾よけ)」に関連してのことだった。そして、今回の放送通信委員長弾劾の推進はMBC社長の交代を阻止するためのものだ。国民が与えた権力を自分たちの党利党略のためにこのように乱用するケースは韓国憲政史上、なかったことだ。

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  • ▲27日午後、ソウル・汝矣島の国会で開かれた議員総会で、朴賛大(パク・チャンデ)党代表職務代行兼院内代表の発言を聞き、拍手する韓国最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)前代表。写真=NEWSIS

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