「政界の犬」となった記者たち…2022年韓国大統領選を揺るがした金万培・申鶴林両容疑者によるフェイクニュース工作

■捜査9カ月目での逮捕

 検察が事件の捜査に着手したのは9ヵ月前だ。ソウル中央地検は昨年9月、申氏の自宅を家宅捜索して、捜査を開始。検事10人余りによる「特別捜査チーム」も設置した。その後、ニュース打破、JTBC、京郷新聞、ニュースバスなどメディアの現役・元記者らや民主党関係者などに対する捜索を行った。

 しかし、捜査は遅々として進まなかった。主な容疑者が押収物の分析過程で異議を申し立てたほか、参考人が事情聴取を相次いで拒んだためだ。申氏の携帯電話とノートパソコン、外付けハードディスクを分析するのにも約3カ月かかったという。 

 また、参考人であるニュース打破の従業員が出頭を拒否し、検察は最近、「公判前証人尋問」制度を活用する異例の対応を取った。同制度は被疑者を起訴する前に裁判所が参考人に出席を求め、供述を聞く手続きだ。それには革新系メディアを中心に「言論の自由を侵害するものだ」という批判が相次ぎ、総選挙まで重なり、捜査が遅れた。

■政治勢力の犬に転落したメディア

 メディア界は、複数の現役・元記者が組織的にフェイクニュースをつくって広め、大統領選に影響を及ぼした例はこれまでにないと評している。言論労組の元委員長が元記者の容疑者と共に「選挙介入」「世論操作」の容疑で逮捕されたのも初めてだ。

 東西大メディアコミュニケーション学部のイ・ワンス教授は「記者出身の金氏と申氏らは意図的にメディアに虚偽事実を報じさせ、選挙に不当な影響を及ぼそうとしたのではないか。メディア倫理の面であってはならないことが起きた」と話した。

 中央大メディアコミュニケーション学部の成東圭(ソン・ドンギュ)教授は「マスコミも大統領選直前、金氏の一方的な主張をしっかり検証することなく、そのまま報道し、結果的に特定政治勢力の猟犬に転落した」と述べた。京畿大メディア映像学科のホン・ソンチョル教授も「今回の事件はマスコミ全体の信頼度を低下させた歴史的事件だ」と指摘した。

兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者、イ・ミンジュン記者

【グラフィック】2022年韓国大統領選介入世論操作事件の経緯

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