おじいさん、おばあさんには学業に対する一生分の恨みを晴らすきっかけとなった。妻と一緒に入学した学級委員長のイ・ダルホさん(80)は「これまで感謝牌(はい)、功労牌はたくさんもらったが、学校の卒業証書がなかったことが一番の恨みだった」とし「学べるということがとてもうれしい」と笑った。最高齢のオム・スンヨンさん(89)は「文章を学ぶことで、孫たちにメールも送りたい」と希望を語った。
高齢者の生徒たちが入学したことで、至る所から寄付金が寄せられた。イ・ダルホさんの5人の子どもは100万ウォン(約11万5000円)ずつ500万ウォン(約57万5000円)を寄付した。甑山面の里長11人も10万ウォン(約1万1500円)ずつ110万ウォン(約12万6500円)を集めた。故郷を離れた甑山小学校の卒業生たちも、十匙(し)一飯(皆の力を合わせれば、人を助けることができる)の心で寄付金を集めた。こうして集められた寄付金は4000万ウォン(約460万円)にもなった。学校側は「古い机や椅子を変え、学用品と教材を買うのに使う予定」という。
同日1時間目の授業は「顕忠日(国のために犠牲になった愛国者を追悼する行事)の意味を心に刻もう」だった。お絵描き、折り紙などの活動はおじいさん、おばあさんと子どもたちが同じ教室で行う。イ・ダルホさんが手を挙げて朝鮮戦争に参戦して戦死した父親の生々しい話を聞かせてくれた。「6·25戦争(朝鮮戦争)の時、うちの町が…」
続いておじいさん、おばあさんたちは孫と同じ年代の同級生たちとムクゲを描いた。おばあさんたちがきれいなムクゲを素早く描くと、子どもたちが「うちのおばあさん、最高!」と言って手をたたいた。パク・トヨン君(7)は踊りながら愛嬌(あいきょう)を振りまいた。
2時間目は授業の進度が異なり、小学1年のおじいさん、おばあさんはハングルの母音を、1、2年生の子どもたちはハングルの単語をそれぞれ練習する授業を行った。おじいさん、おばあさんたちは練習帳に字を数十回ずつ書き込み、声を出して読んだ。
「声を出して読むと、早く覚えられますよ」
生徒たちを教えていたチョン・ヨンウ教諭は「年配の方々は時々とんでもない質問をされることもあるが、集中力がすごい」とし「実力がぐんぐん伸びるので、教えがいがある」と話した。
金泉=イ・スンギュ記者