韓国大統領室は20日「ウクライナへの武器支援問題を再検討する」との方針を明らかにした。これまで韓国政府はロシアによるウクライナ侵攻を非難し、国際社会によるロシア制裁に加わってきた。ただその一方でウクライナ向けの殺傷兵器の直接支援は自制し、医薬品、戦闘用食糧、防弾ヘルメットなど非殺傷用の軍事物資を中心に支援を行ってきた。ウクライナ戦争後のロシアとの関係を考慮したやむを得ない決定だった。しかし今回ロシアが有事の自動軍事介入を含む新たな条約を北朝鮮と締結し、北朝鮮への軍事技術支援まで予告した以上、韓国としてもそれ相応の対応に乗り出さないわけにはいかなくなった。
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米国や欧州など韓国の友好国は多くがウクライナに武器支援を行っているため、韓国だけが軍事支援に一線を引くことは簡単な決定ではなかった。先日行われたプーチン大統領の5回目の大統領就任式にも西側諸国の多くが参加を見合わせたが、韓国はロシア駐在大使を式典に参加させた。ロシアはその意味を深く考え、慎重に行動すべきだった。プーチン大統領は訪朝前の会見で、韓国がウクライナに武器支援を行っていないことに言及し「非常にありがたく思っている」と述べたが、これは口だけだった。今回ロシアと北朝鮮が締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」では冷戦時代の自動軍事介入条項が復活した。これは1996年に廃棄された内容だ。
この条約には明記されていないが、プーチン大統領は会見で「北朝鮮との軍事技術協力を排除しない」との考えも示した。これは国連安保理常任理事国として自ら作成に関与した安保理決議を無視することを意味する。北朝鮮は旧ソ連製の古い兵器の現代化を強く求めており、また「戦略兵器5大課業」として原子力潜水艦、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、偵察衛星などの技術移転も希望しているが、今後これらが行われないとは誰も断言できなくなった。北朝鮮とロシアの軍事協力が現実となれば、これは韓国と韓国国民にとって直接の脅威となり、なおかつ韓国の善意に対する背信であると同時に韓ロ関係のレッドラインを越えることにもなる。
武器支援は防空システムなど防衛用から始まり、その後も朝ロの危険な取引が続いた場合、殺傷用にまでその次元が高まることも検討されるだろう。昨年以降、韓国は米国に数十万発の155ミリ砲弾を貸与・販売してきた。米国はこれにより自国の武器庫を補い、従来の在庫をウクライナに供与した。韓国にとってはロシアと米国の双方に配慮した間接的な支援だった。ただし今後韓国がウクライナに直接支援を行ったとしても、ロシアは何も言えないだろう。このような状況はロシア自ら招いたものだ。韓国は北朝鮮の古い砲弾とは比較にならない高性能兵器を大量生産できる能力がある。その点をロシアは忘れるべきではない。