柔道韓国代表の許海実・金知秀 五輪活躍に期待=「在日の先輩」安昌林がサポート

【鎮川聯合ニュース】「私は失敗の経験を伝える伝達者に過ぎない。許海実(ホ・ミミ、21)と金知秀(キム・ジス、23)は私よりはるかに立派な選手たちで、パリ五輪でもきっと良い成績を収めるだろう」――。

 東京五輪柔道男子銅メダリストで慶尚北道体育会所属柔道コーチの安昌林(アン・チャンリム)氏(30)は13日、韓国代表がトレーニングする忠清北道・鎮川選手村で聯合ニュースのインタビューに応じ、同じ在日韓国人で柔道女子韓国代表の許と金の活躍に期待を寄せた。

 京都で生まれ育った安氏は、小中高と日本で学校に通ったが、韓国籍を捨ててはいけないという両親の教えに従って帰化はせず、2014年に韓国に渡った。男子73キロ級のスター選手として数々の国際大会でメダルを獲得。21年の東京五輪で銅メダルに輝いた後、引退した。

 許と金も安氏と同じ道を歩んでいる。

 02年に東京で生まれた許は、韓国人の父と日本人の母を持つ在日韓国人だ。「韓国代表として選手生活をしてほしい」という祖母の言葉を胸に、21年に日本国籍を離脱。韓国で選手生活を始めた。

 金も00年に兵庫県で生まれた在日韓国人3世だ。両選手はパリ五輪でメダル獲得が有力視されている。

 先月開催された世界選手権で、許は女子57キロ級で優勝した。韓国女子の世界選手権優勝は29年ぶりの快挙だった。

 金も3月に開かれたグランドスラム・アンタルヤ大会の女子63キロ級で優勝するなど、このところ勢いに乗っている。

 2人の気持ちを誰よりもよく知る安氏は、日本では「裏切り者」、韓国では「異邦人」と呼ばれながらも屈することなく世界トップに立った経験を両選手に伝えている。

 安氏は「私は初めて韓国に来た時、韓国の文化やトレーニング方法に適応するために多くの時間を要したが、両選手は強いメンタルと前向きな心構えですぐに適応した。私よりはるかに立派な選手たち」と称賛した。

 また、「私は失敗した者として経験を伝えるだけ」としながら「初めて出場した16年のリオデジャネイロ五輪では傲慢(ごうまん)さのせいでメダル獲得に失敗したが、その時の記憶を(五輪初出場の)許に教えている」と語った。

 一方、「許には傲慢さが見えない」として、パリ五輪できっと実力を発揮するだろうと太鼓判を押した。

 安氏は、心から2人の成功を願っている。許が先月の世界選手権で優勝したことを「自分ではなく他人が1位になってあれだけうれしかったのは人生で初めてだった」と振り返った。

 金は「安コーチはもともと在日韓国人の先輩だったが、今はコーチになった」として「多くの技術を学び、心強い」と笑顔をみせた。隣にいた許は「自分も」とほほ笑んだ。 

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