朝鮮半島「地震の安全地帯ではない」 M7クラスの恐れも

【ソウル聯合ニュース】12日午前、韓国南西部の全北特別自治道・扶安で発生したマグニチュード(M)4.8の地震は、朝鮮半島がもはや「地震の安全地帯」ではないことを示した。日本に比べると地震の危険性がはるかに低いのは事実だが、学界では朝鮮半島でM7クラスの大地震が起きる恐れもあるとみている。地震研究の基盤となる朝鮮半島の断層調査は始まって間もない段階で、今後発生が予想される地震に対応し、被害を最小化するために研究と投資が必要だとの声が上がっている。

◇震源の深い地震が増加 学界「M7.0もあり得る」

 朝鮮半島はユーラシアプレートの中にあり、日本のようにプレートの境界にある地域に比べて地震が少ない。原発運営会社の韓国水力原子力の資料によると、日本は2000~22年にM5.0以上の地震が年平均114.5回発生し、0.3回の韓国より圧倒的に多い。

 韓国気象庁がデジタル観測を始めた1999年以降では、M2.0未満の微小地震を除く「地震らしい地震」は年平均70.8回発生している。ただ、1年間に発生する地震の大部分はM2.0台までにとどまり、今回のように4.5を超える地震は極めてまれだ。78年以降に朝鮮半島と周辺海域で発生したM4.5以上の地震は、今回を含めて28回に過ぎず、陸地での発生に絞ると13回しかない。

 しかし、これまで起こらなかったからといって今後も大地震が発生しないと断言することはできない。その上、2011年の東日本大震災で朝鮮半島の東側が日本側に引っ張られ、朝鮮半島がこれまでより約3センチ広く、地盤が弱くなり、過去に比べて地震が頻発する状況が続いている。

 延世大地球システム科学科のホン・テギョン教授(地震学)は「東日本大震災で朝鮮半島の応力(外からの力に対する抵抗力)不均衡が生じて地震が急増した。現在はやや減ったが、応力が(地盤の)深い場所に移り、震源の深い地震が増えている」と説明した。

 学界では、朝鮮半島で発生する可能性がある地震の最大規模をM6.5~7.0と予想している。M7.0の地震は、気象庁が地震観測を始めてから最も強かった16年9月の慶州地震(M5.8)より威力が63倍強い。

 韓国地質資源研究院地震研究センターのパク・ウンジン研究員によると、韓国の代表的な断層である梁山断層を調査した結果、複数の断層区間が過去に同時に動いた可能性が確認された。

◇朝鮮半島の断層調査は初期段階 調査終了は36年の予定

 問題は、朝鮮半島にどのような断層があるのかはっきりしていないという点だ。

 今回の地震は断層の上半分と下半分が断層面に沿って水平に移動したことで発生したと推定されるが、地震が発生した場所にどのような断層があるか正確な情報は得られていない。ホン教授は「周辺の地表面に断層があることは分かっているが、この断層が今回の地震の震源である深さ8キロまでつながっているかははっきりしない」と述べた。

 朝鮮半島で発生し得る地震の最大規模がM7.0と推定されていることから、今回のようなM4.8の地震はいつどこで起こってもおかしくない。また、これまでM4.0以上の地震は南東部の慶尚北道を中心に発生し、南西部の全羅北道でM4.0以上の地震が発生したのは今回が初めてだ。 

 地震が発生した断層について正確なことが分かっていないため、不安が募る状況だ。

 朝鮮半島の断層調査の歴史は浅く、16年9月の慶州地震を機に「朝鮮半島断層構造線の調査と評価技術開発」事業が始まり、現在は朝鮮半島南東部(嶺南圏)を対象とする第1段階の調査が終わったところだ。この調査では、地質学的には最近と見なされる258万年前までの間(新生代第四紀)に一度でも地震による地表の破裂や変形を誘発した14の活断層が確認された。

 現在、26年までに朝鮮半島中西部(首都圏)と中南部(忠清道圏)の断層を調べる第2段階の調査が進められている。第3段階(湖南圏)と第4段階(江原道圏)の調査が完了するのは36年の予定で、それまで朝鮮半島の正確な断層情報の把握は難しいといえる。

 パク研究員は、韓国は大きな被害が発生する地震を経験したことがなく、「地震の安全地帯」という認識から研究が不足していると指摘。「地震は正確な予測が不可能であり、被害の最小化と発生後の対応のための関連研究がさらに必要だ」と強調した。

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