ロシア語で書かれた「学校からのおたより」…韓国人が少数派になった仁川・ムンナム小学校

仁川ムンナム小学校の教室の70%が多文化児童
韓国語が通じず、勉強が進まない
韓国人児童の父兄「転校させるか悩む」

 仁川教育庁世界市民教育課のパク・サンヒ奨学士は「ムンナム小学校は教育庁でもどのように支援すればいいのか分からないほど難題を抱えている」とし「1クラス当たりに占める多文化児童の割合が20-30%程度だった時は韓国人保護者たちも『子どもたちが海外の文化や外国語を学び、他人を理解する方法を学ぶきっかけになる』と期待を寄せたものの、多文化児童数が半数を超えて以降は韓国人保護者たちの不満が拡大した」と厳しい事情に触れた。パク奨学士は「教員の定員が減り続けている中で、教育庁は何とかして追加教員を確保しようと努力しているものの、人材不足が著しい」という。教師たちも多文化児童の割合が高い学校への赴任を避けるためだ。

 各種工業団地がひしめく仁川・安山市には、多文化児童の占める割合が40%台から97%に上る学校が散在する。ソウル市も今年初めを基準に、多文化児童の占める割合が70%以上の小学校が2校、40%以上の学校は中学校を含めて10校だった。忠清北道清州市、全羅南道咸平郡にも多文化児童の割合が40-60%台に上る学校が数多く存在する。

 これまで多くを占めていた中国、ベトナム、タイ系の多文化生徒に加え、ロシア、ウクライナ、中央アジア系の多文化生徒の流入も増えている。安山市のある中学校の校長は「全校生徒500人前後のうち、多文化生徒は2022年初めに20-30人程度だったが、ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに一挙に流入した中央アジア、ロシア系の生徒たちが今では150人を超える」と話した。同校は、多文化生徒の入学希望者が増えたため、韓国語の入学試験を導入した。同校長は「試験を通じて多文化生徒の占める割合を30%台に抑えている」とし「入学を希望する多文化生徒たちを全て受け入れた場合、韓国人生徒に対する指導にも支障を来していたことだろう」と振り返る。

 専門家たちは「大韓民国が多文化社会に移行する過渡期的現象」と口をそろえる。一線の教育庁と学校も、保護者と児童が同伴する韓国語教育の支援、多重言語学習資料の開発などを進めている。米国の学校のように英語とスペイン語、韓国語などを併用する「多重言語教育」も代案の一つとして議論されている。京仁教育大学のチャン・インシル韓国多文化教育研究院長は「韓国共同体の構成員が多元化したことで、さまざまな教育課程を開発し、運営する必要性がある」とし「多文化児童たちが韓国での教育に付いていけるようにすることが、今後の国家的課題になる」と説明した。

キム・スギョン記者、チャン・ユン記者

【Photo】ムンナム小学校正門 ハングル横断幕の下にキリル文字

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  • ▲イラスト=キム・ソンギュ
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