韓国政府は「迎日湾に石油埋蔵の可能性があり、採掘を開始する」との意向を示しているが、これに対して韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は6日にフェイスブックを通じ「十中八九(成功する確率は最大で20%)失敗するのなら、国民の血税が投入されるのは心配」と指摘した。李在明代表は「唐突な産油国議論だ」とした上で「数千億ウォン(数百億円)を投入し、最終的に国民を失望させた釜山エキスポを何度も思い起こす」ともコメントした。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日に行ったブリーフィングについて、野党からはやゆや呪いとも言える非難の声が相次いでいる。祖国革新党の曺国(チョ・グク)代表は「国政をこんな形で運に委ねてもよいのか」と反発し、また別の議員は「時代錯誤のような産油国コメディーだ」と侮辱した。
【Photo】深海評価分析を行ったビトール・アブレウ博士が来韓
慶尚北道浦項市の迎日湾で実際に経済性を確保した形で原油の採掘か可能かどうか、現時点では誰も分からない。試掘により石油やガスの存在を確認し、実際に採掘して埋蔵量を把握し、投資と生産のバランスを検討する経済性評価までまずはしっかりと行わねばならない。これにはかなりの作業時間を要する。そのため「大統領自らブリーフィングの形で発表するのは不適切」との批判が出るのもある意味当然だ。
しかし全ての資源開発がそうだが、たとえ成功の可能性は非常に小さくとも、希望を持って何度も失敗を重ねなければ結実は得られない。「迎日湾で石油が取れる可能性は20%」との見方について韓国政府は「北海油田は当初3%だった。通常10%でも確率は高いとされている」と反論した。複数の専門家も「試掘には巨額を要するため財政面での負担はあるが、資源開発の特殊性を考えれば探査の価値は十分にある」との見方で一致している。李在明代表のように「失敗の確率は十中八九」などと最初から嫌みを言うような問題ではない。
かつて李明博(イ・ミョンバク)政権が行った資源外交を野党は全て「積弊」と非難し、海外での資源開発を事実上中断してしまった。当時政府は電気自動車用バッテリーに必要なリチウムを確保するため、南米のボリビアに多額の投資を行ったが、政権交代と積弊捜査によりボリビアでのリチウム開発プロジェクトは取りやめとなった。
共に民主党は迎日湾のガス試掘について「試掘井1カ所に1000億ウォン(約110億円)を要する」として韓国産業通商資源部(省に相当)と韓国ガス公社に対し国会で質疑を行う構えだ。共に民主党のスポークスマンは「疑惑が解消されない状態で試掘を強硬すれば、担当職員は刑事処罰から逃れられないだろう」と発言し、資源開発を担当する政府の職員や専門家を最初から脅している。資源開発については世界中の国が経済の次元ではなく国の安全保障問題に直結する点をしっかりと認識し、政府が先頭に立って取り組んでいる。ところが韓国だけは政党の論理が優先され自害行為をしている。