汚物風船は計1000個飛来…韓国全土で車の破損被害続出、仁川空港にも落下し離着陸3回中止

北からの風船、1回目と2回目合わせて1000個

ソウル・安山など韓国全土で被害続出

 北朝鮮が先月28-29日に続き、今月1日から2日にかけてもいわゆる「汚物風船」を大量に飛ばした。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は週末だった1日から2日にかけての二日間、タバコの吸い殻や紙くずなどが入った汚物風船約720個を韓国に向けて飛ばしたとのことだ。先月28日から29日までの1回目(約260個)より約460個多い。

【写真】北からの汚物風船が車に命中…衝撃で割れたフロントガラス

 北朝鮮が最近2回にわたって飛ばした汚物風船は計1000個に達する。過去1年分の韓国に向けた風船の数(2017年の約1000個)に匹敵する数を、1週間足らずの間に飛ばしたことになる。

 2回目の時は1回目と違い、器物損壊などの被害も続出している。汚物を入れた袋が一部、空中で爆発せず、そのまま落下して車などに当たった。幸い、人命にかかわる被害の届出はない。

 2日午前8時30分ごろ、京畿道富川市梧亭区では、汚物風船1個が駐車中のトラックの運転席の前輪近くに落ちた後、爆発した。このため、運転席のドアとタイヤに黒い「すす」が付いた。インターネット・コミュニティー・サイトでは「汚物が入っている袋に火薬のような引火物質もあるのではないか」という説が取りざたされている。警察関係者は「風船には空中で汚物が入った袋を爆発させるための爆発タイマーが装着されている。このタイマーが床に落ちた後、爆発してトラックのタイヤを焼いたものとみられる」と話す。警察によると、幸いなことに火事にはならなかったという。

 これに先立つ同日午前5時40分ごろ、ソウル市陽川区新亭洞では、駐車中のスポーツタイプ多目的車(SUV)の上に汚物風船が落ち、助手席側のフロントガラスが破損した。さらに午前10時22分ごろには、京畿道安山市檀園区のある集合住宅の駐車場でも、北朝鮮から来たと推定される汚物風船が落ち、乗用車のフロントガラスが割れた。当時、車に誰も乗っておらず、通行人もいなかったため、負傷者はいなかったとのことだ。

 ソウル市の関係者は「汚物が入っている袋はたいてい重さが5キログラム以上なので注意しなければならない」と語った。

 汚物風船が仁川国際空港に落下し、航空機の運航が遅れるという事態も発生した。仁川空港公社によると、1日から2日にかけて汚物風船が滑走路周辺などに落ち、航空機の離着陸が3回、一時中止した。同公社は汚物風船を回収した後、航空機の運航を再開した。

 また、京畿道安養市万安区のある市場と、慶尚北道浦項市の華津海水浴場近くの砂浜にも、汚物風船と推定される物体が落ちた。警察は「通行人がいなかったため、人命にかかわる被害はなかった」と話している。

 今回の汚物風船は慶尚北道安東市と醴泉郡でも発見された。同日午前、醴泉郡のあるゴルフ場に汚物風船が落ちたのに続き、安東市礼安面の畑でも汚物風船が発見された。

 ソウル市では、北朝鮮が2回目の風船散布を開始した1日夜9時ごろから同日夜10時まで、計106カ所で汚物風船が発見されたとの通報が寄せられた。同市東大門区の韓国外国語大学キャンパスにも汚物風船が飛来して爆発した。このためソウル市は同日、首都防衛司令部やソウル警察庁などと共に「24時間初動対応班」を設け、運営に入ったことを明らかにした。同市関係者は「今回はソウル市全域で汚物風船が発見された。市民の被害状況などをモニタリングしている」と述べた。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者、ヤン・ジホ記者、富川=キム・ヒョンス記者

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  • ▲先月29日午前、京畿道竜仁市で発見された汚物風船。写真=news 1
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