韓国の大手財閥SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長はアートセンターナビの盧素英(ノ・ソヨン)館長と離婚するに当たり、盧館長に財産分与として1兆3808億ウォン(約1570億円)を、慰謝料として20億ウォン(約2億円)を支払うよう命じる二審判決が30日、言い渡された。これは韓国の離婚訴訟史上、財産分与での最高額だ。この判決が確定すれば、SKグループの経営にも大きな影響を及ぼすものとみられる。
この判決はソウル高裁家事第2部(金時徹〈キム・シチョル〉裁判長)が言い渡した。崔泰源会長と盧素英館長は出廷しなかった。同高裁は「盧素英館長は株式の価値上昇に寄与したと見なすべきだ。SKの株式をはじめ、崔泰源会長の財産は全て夫婦の共同財産に含まれる」と述べた。また、「崔泰源会長は内縁の妻であるキム・ヒヨンT&C財団理事長との生活で219億ウォン(約25億円)以上支出した。一審の慰謝料は過度に少ない。増額するべきだ」と説明した。
同高裁は崔泰源会長のSK株を含めた分割対象財産を計4兆110億ウォン(約4610億円)と見なし、分割の割合を崔泰源会長65%、盧素英館長35%と判断した。そして、財産分与額の1兆3808億ウォンと慰謝料20億ウォンを現金で支給するようと言った。盧素英館長の父親である故・盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が崔泰源会長側に秘密資金300億ウォン(約35億円)を渡したことや、盧元大統領がSKの成長において保護膜や盾の役割をした点などを根拠にした。この秘密資金などが崔泰源会長の現在の財産の元になったという意味だ。
一審では「SK株は崔泰源会長が父で同グループ元会長・崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)氏から受け取った資金で買った『特有財産』なので分割対象ではない」としていた。盧素英館長は財産形成に寄与していないという判断だった。
この日の判決直後、盧素英館長側は「婚姻の純潔と一夫一妻主義に対する憲法的価値を深く考慮した立派な判決だ」とコメントした。しかし、崔泰源会長の弁護団は「証拠もなしに偏見と予断に基づいて企業の歴史と未来を揺るがす判決には同意できない」として上告する意向を明らかにした。秘密資金についても「立証されているものは全くなく、推測ばかりを根拠になされた判断だ」と述べた。
二人は盧泰愚元大統領就任1年目の1988年9月に結婚した。しかし、2015年に崔泰源会長が婚外子の存在を公表し、離婚訴訟が始まった。盧素英館長は当初、離婚を拒否していたが、4年後の2019年12月に財産分与を要求して反訴した。
ヤン・ウンギョン記者