【ソウル聯合ニュース】韓国の憲法裁判所が憲政史上初めて、検事の弾劾事件に対する判断を示した。ソウル市公務員のスパイ疑惑に絡み公訴権を乱用したとして、国会が安ドン完(アン・ドンワン)釜山地検第2次長検事(職務停止当時)の弾劾訴追を求めたことに対し、憲法裁判所は30日、これを棄却した。
裁判官5人が棄却、4人が認容の意見を示した。弾劾訴追が棄却されたことから、安氏はソウル高検検事として直ちに復帰する。
事件は2013年、華僑出身で脱北後にソウル市の契約職公務員として働いていた男性がスパイ容疑をかけられたもので、検察が提出した証拠が偽造だったことが分かり、波紋を呼んだ。すると検察はすでに起訴猶予処分を受けていたこの男性の北朝鮮への送金(外国為替取引法違反)事件を持ち出して起訴した。一審で有罪判決を受けたものの、検察が公訴権を乱用したとして二審と大法院(最高裁)では控訴が棄却された。大法院が公訴権の乱用を認定した初の事例となった。
最大野党「共に民主党」はこの起訴が男性への報復だったとして、安氏の弾劾訴追案を主導し、昨年9月に国会を通過させた。安氏は職務を停止された。