韓国政府の「バイオビッグデータ構築事業」の分析機器受注戦に米規制リスト入り中国MGIが参入

 「バイオセキュリティー」は米国だけの問題ではない。韓国政府も大規模な生体情報構築事業を現在進めているためだ。

 韓国政府が今年4月に事業チームを発足させ、本格的に開始した「国家統合バイオビッグデータ構築事業」とは100万人の韓国人から血液、尿、組織などの検体を採取し、臨床情報や診断・処方情報、遺伝子分析情報までを統合する「バイオビッグデータ」を構築するというもの。バイオバンクと呼ばれるさまざまな生体情報をデータバンクとして管理することを意味する。

 今年から2028年までその第1段階として国の予算から6039億ウォン(約695億円)と民間から26億ウォン(約3億円)を投入し、77万2000人のバイオビッグデータを集め、その後100万人にまで規模を増やす計画だ。

 参加者の同意を得て集めるバイオビッグデータの中で最も重要とされるのがDNA塩基配列などの遺伝子分析情報(合計55万人)だ。これによりどんな病気にかかるリスクが高いか予測でき、当事者に最適な治療も提供できる。韓国政府がこの事業を行うのもバイオビッグデータを活用し、新薬や医療機器の開発、国際的なバイオ産業の主導権を握ることが狙いだ。

 今回の事業に使われる遺伝子分析機器は米イルミナ製と中国のMGI製が有力視されている。MGIは米国のバイオセキュア法の規制リストに掲載された企業だ。業界ではイルミナは技術力、MGIは価格競争力で有利とされている。

 韓国政府が今回の事業にどのメーカーの機器を使うかによって韓国のバイオ関連企業の海外進出にも影響しそうだ。米バイオセキュア法により海外進出がつまずく可能性も考えられるからだ。MGIは5月23日「遺伝子データへのアクセスや収集、保管などは行わない」と発表した。

郭守根(クァク・スグン)記者

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