韓国がUAEと締結の経済連携協定 自動車輸出・原油調達で大きな恩恵

【世宗聯合ニュース】韓国とアラブ首長国連邦(UAE)は29日、商品やサービスなどの貿易を自由化する自由貿易協定(FTA)の要素に加えて幅広い分野での協力と交流強化を図る、包括的経済連携協定(CEPA)に署名した。韓国が中東と2国間の自由貿易協定を結ぶのは初めて。CEPA締結により、韓国政府は中東進出の足場を固めて新たな「中東ブーム」を呼び込むとともに、エネルギー需給を安定させ、経済安全保障の強化を図りたい考えだ。

 韓国とUAEのCEPA締結交渉は昨年10月に妥結。この日ソウルでの首脳会談開催を機に、両首脳が立ち会う中で担当閣僚が正式署名した。

 韓国にとっては24件目の自由貿易協定締結となる。UAEは14番目に大きい貿易相手国(2023年時点)で、中東の中ではサウジアラビアの次に大きな取引先だ。韓国の原発が初めて輸出された国であり、韓国の原油輸入ではサウジアラビア、米国に次いで依存度が高く、戦略的協力で重要な国の一つに挙げられる。

 CEPAが発効すれば、韓国とUAEは10年かけてそれぞれ市場の92.5%、91.2%(品目数ベース)を開放していく。

 UAEは韓国の主要輸出品である自動車、自動車部品、家電、兵器類や、牛肉・鶏肉・果物・即席麺をはじめとする農畜水産物などの関税を撤廃する。これにより韓国はUAE市場にアクセスする機会が広がり、同国を足掛かりに他の中東諸国との貿易拡大も見込めると韓国政府は期待する。

 韓国はとりわけ自動車輸出が大きな恩恵を受けるとみている。自動車は対UAEの最大輸出品目で、2023年も輸出額が4億8300万ドル(約760億円)と、前年比43%の伸び率を見せた。

 一方、韓国はUAEからの輸入額の9割超を占める原油と石油化学製品のほか、ナツメヤシなどに対する関税を段階的に撤廃する。原油などに課している関税は現行3%だが、10年かけて撤廃する計画だ。昨年UAEからの原油輸入額は98億ドルで、原油輸入量全体の約11%だった。石油化学製品の主原料のナフサに対する関税は、現行の0.5%を5年かけて0.25%に引き下げる。

 ロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギー安保の重要性が高まり、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘などで中東情勢は不安定な状況が続く。UAEの原油に対する関税が撤廃されれば、韓国石油産業のコスト競争力も改善すると見込まれる。

 またUAEはサービス貿易で、韓国のオンラインゲーム、医療、映像・音楽コンテンツなどに対し積極的に市場を開放する。

 両国は今回のCEPAに、エネルギー・資源、バイオ経済、スマートファーム、ヘルスケア、先端産業など、分野別の協力に関する付属書も設けた。

 韓国産業通商資源部は「UAEは中東だけでなくアフリカ、南アジアを結ぶ物流ハブで、この地域での韓国企業の進出拡大にも大いに役立つと期待する」と述べた。

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