第3段階は海上封鎖など軍事的な脅しを徐々に強めていくと同時に、台湾内部に「中国との和親を通しての平和」世論を拡散させるというもの。報告書は「この過程で韓日など周辺国が台湾問題に神経を使えないように、北朝鮮の核実験および局地挑発などを誘導することもあり得る」と予想した。
こうした過程を経て台湾と米国などで「台湾は中国と平和に過ごす方がよい」という世論が固まれば、最後の第4段階を通して平和協定を結び、平和委員会を立ち上げて「支配体制」を完成させるというのが報告書の結論だ。中国は1997年、英国が香港を返還した後、一時「一国両制(一国二制度)」を保障すると約束したが、結局は自由な言論への弾圧などを通して香港の自由民主主義を除去した。台湾もまた同じようなプロセスをたどる可能性が高い、という見方も出た。
報告書は「米国およびインド太平洋地域の同盟諸国の支援に後押しされた台湾内部のいわゆる“分離主義者”を挫折させ、『両岸の平和』という名目で中国の要求に100%応じる(親中)政治家に権力を移譲するのが中国の計画」だとした。中国のこのような「台湾服属」シナリオは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に直面している韓国にも大きな示唆を与える、との指摘がある。米連邦議会の関係者は「中国と北朝鮮・ロシアなどは一様に挑発を継続しながらも、表向きは『平和』を叫んでいる」とし「中国などが展開している心理戦・世論戦の危険性をきちんと認識して対応すべき」と語った。
報告書の著者の一人、ダン・ブルーメンタールAEIシニアフェローは最近、同報告書の結果などを基に、米下院中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党)とラジャ・クリシュナムルティ筆頭委員(民主党)などと共に米国の対応案を話し合ったという。報告書は「米国政府が、中国の軍事的挑発の可能性にのみ集中して準備する場合、中国が既に隠密裏に進めている『ハイブリッド強圧戦略』にはきちんと対応できないかもしれない」と警告した。
ワシントン=イ・ミンソク特派員