中国とロシアの顔色をうかがう「グローバル中枢国家」【朝鮮日報コラム】

台湾総統就任式には代表団を送らずプーチン大統領の就任式に代表団を送った韓国政府
自由民主主義陣営とは今も対応にズレ
中国とロシアに気に入られても最後は毒に

 同じようなケースは実は思った以上に何度も繰り返されている。2週間前にモスクワではプーチン大統領の5期目の就任式が執り行われ、クレムリンのロシア大統領府は事前に各国大使らに招待状を送っていた。しかし自由民主主義陣営、つまり「志を同じくするグループ」の多くは就任式に参加しなかった。この就任式は、隣国を侵略し政敵を殺害する独裁者の永久執権を祝う場と見なされたことに加え、ウクライナ国民との連帯の意味も込められていたからだ。ところが韓国政府の考え方は違っており、李度勲(イ・ドフン)駐ロシア大使を出席させたのだ。フランス大使も出席していたため、恥ずかしさは多少和らげられたかもしれない。

 今は任期前半の単線的な外交を細かく整えるプロセスかもしれないが、本当にそうなら幸いだ。台湾総統就任式の1週間前に北京では韓中外相会談が開かれ、その場で中国は「台湾問題については慎重に取り扱うことを希望する」と要求してきた。中国を説得し、今月中に韓中日首脳会議を実現させたい韓国政府にとって聞き流すのは困難な要求だった。またつい先日ロシアもウラジオストクで活動していた韓国人宣教師をスパイ容疑で拘禁した。中国を恐れる「恐中症」と「ロシア・フォビア(恐怖症)」は韓国外交にとって根深い病だ。

 権威主義国家やその政権を相手にする際、重要なことは「志を同じくするグループ」と同じ言葉を発信し、同じ行動を取ることだ。韓国は国連安保理の非常任理事国であると同時に、「グローバル中枢国家」を自認しているが、だとすれば安保理をないがしろにしているプーチン大統領の戴冠式で拍手を送り、台湾総統の就任式から顔を背けるべきではない。これにより一時的には中国とロシアの機嫌を取ることはできるだろうが、最終的には韓国外交にとって毒になるだろう。9年前に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領(当時)は天安門の上で中国の戦勝記念軍事パレードに出席した。自由民主主義陣営の国はどこも参加をボイコットしたイベントだ。これに対する中国からの見返りは無慈悲なTHAAD(高高度防衛ミサイル)報復だった。このように高い授業料を払っても同じ過ちを繰り返しているようでは、「外交知能」に問題があると言わざるを得ない。

李竜洙(イ・ヨンス)論説委員

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