尹大統領、海兵隊員殉職問題の特別検察官法に拒否権行使

韓国大統領室「警察と高位公職者犯罪捜査処が捜査中」
野党「28日の本会議に再提出」

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は21日「海兵隊員特別検察官法」に対し再議要求権(拒否権)を行使した。共に民主党など野党各党が強行採決した法案に対して尹大統領が拒否権を行使し、国会に送り返すのは就任以来今回が10回目だ。

【写真】「チェ上等兵特別検察官法」再議要求を非難する共同記者会見に臨む共に民主・李在明代表

 韓国大統領室は同日「尹大統領は首相主催の国務会議(閣議に相当)で議決された『殉職海兵捜査妨害および事件隠蔽(いんぺい)など真相解明に向けた特別検察官任命法案再議要求案』を裁可した」と明らかにした。

 韓国大統領室の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)秘書室長はブリーフィングで「特別検察官制度は、捜査機関による捜査が不十分であるとか、捜査の公正性または客観性が疑われるケースにのみ補充的・例外的に導入可能な制度だ」とした上で「現在警察と高位公職者犯罪捜査処が捜査を行っている」と指摘した。鄭秘書室長はさらに「国会は過去25年間に特別検察官法を13回成立させたが、それらは全て与野党の合意に基づくものだった」とも説明した。

 これに先立ち野党各党は2日、国会本会議で与党・国民の力の議員らが退場した後に海兵隊員特別検察官法を採決・成立させた。この法案は共に民主党が選んだ2人のうち1人を特別検察官として任命し、この特別検察官が昨年7月に慶尚北道の水害現場で行方不明者捜索作戦中に起こったチェ上等兵死亡事件はもちろん、大統領室や国防部(省に相当)などによる捜査介入疑惑も捜査することを定めるものだった。

 共に民主党など野党各党は尹大統領の拒否権行使に強く反発しており、今月28日に予定されている国会本会議で改めて採決し、否決された場合は第22代国会で特別検察官法を改めて提出する構えだ。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「尹大統領は(特別検察官法を拒否することで)自らが犯人であることを自白した。今こそこの犯行に対する責任を追及すべきではないのか」「国民の怒り、歴史の審判の前に尹錫悦政権は波間の帆船のような立場にあることを必ず記憶すべきだ」と述べた。第22代前半期の国会議長就任が有力視される共に民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員は「民心に服従しない拒否権行使、国会が変える」「尹大統領に警告する。特別検察官法こそ国民の意向だ」と指摘した。

金慶和(キム・ギョンファ)記者、キム・ドンハ記者

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