中国通販サイトの有害製品問題にともなう韓国の国家統合認証マーク(KCマーク)義務化措置が消費者の反発によりたった三日で白紙化された。既に消費トレンドとなっている海外通販での購入という流通チャンネルを規制で防ぐことは可能ではなく、望ましくもない。
中国通販サイトに対する正攻法は、安全性の面で信頼できる国内流通産業の競争力を育てることだ。流通産業の足を引っ張っている古い規制をまずなくさなければならない。強力なオフライン流通チャンネルを持つ大型スーパーは、2012年に「昔ながらの市場を守る」という名分で導入された月2回の土日休業や、深夜0時から午前10時までのインターネット配送禁止に足を引っ張られている。このような規制で恩恵を受けたのは市場の商人たちではなく、大手ネットショッピングサイトだった。この10年間で全国の伝統的な市場は1502カ所から1408カ所に減った反面、ネットショッピングの割合は50%以上へと増えた。
オンラインとオフラインの境界線や国内と海外の流通における国境がなくなりつつある状況で、韓国国内の大型スーパーだけを規制する法律は時代錯誤的だ。このほど、大邱市やソウル市東大門区などで大型スーパーの日曜日の営業を許可したところ、近くにある昔ながらの市場の売上も増えたという。大型スーパーと昔ながらの市場は互いの領分を侵していく競争相手ではなく、共生のパートナーになれることを示しているのだ。
海外の有害製品の流入を防ぐには、海外電子商取引(eコマース)企業が韓国の法律を順守し、消費者の被害に対し責任を問うことができるよう、韓国国内に現地法人の形で法的代理人を置くことを義務付ける案を推進すべきだ。第21代国会で国内代理人指定制度導入などを盛り込んだ電子商取引法改正案が発議されたが、今まで放置されている。この法案をまず処理しなければならない。韓国の流通業者が防御にとどまるのではなく、海外市場開拓に乗り出すことができるよう、「『逆』通販サイト活性化」(海外の個人による韓国通販サイト利用活性化)政策も必要だ。そのためには、韓国の中小eコマース企業の海外物流・配送を支援する共同物流センターを大幅に増やす必要がある。
中国通販サイトで購入した製品から発がん性物質が検出されて以降、これらサイトの4月の売上は40%以上も急減した。韓国政府は市場の自浄機能が作用するよう、製品の安全性検証を強化し、関連情報を迅速に発表する役割をきちんと果たせばいいのだ。