韓国統一相 対北融和進めた文前大統領の回顧録を批判

【ソウル聯合ニュース】韓国の金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官は20日の記者会見で、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が回顧録で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が「核を使用する考えが全くない」と述べたなどと主張したことについて、「北の能力を無視し意図だけに焦点を合わせると情勢を間違って判断する結果を招きかねない」として、「北の意図を全面的に信じると私たちに極めて否定的な安全保障上の結果をもたらす」と批判した。

 文前大統領は回顧録で金正恩氏の非核化の約束は「本気だったと思う」としたほか、非核化を巡る米朝の交渉が頓挫したことについては米側の責任もあると主張した。

 金暎浩氏は1938年に英国などがドイツと締結したミュンヘン協定を取り上げ、「英国首相がヒトラーを信頼し、融和政策を進めた結果、ヒトラーが第2次世界大戦を起こした」と指摘。昨年、漁船に乗って北朝鮮を脱出した家族の1人が文前政権だったら脱北を決心しなかったと証言したとして、「文政権の対北政策が北の住民にとってどういう意味だったのか明確になる」と強調した。

 また、北朝鮮が対韓政策を担ってきた党統一戦線部の名称を「党中央委10局」に変更し、心理戦中心の機能を担わせていることを公表した。

 金暎浩氏は北朝鮮との対話の再開は容易ではないとの見解を示しながらも、人道問題や災害への対応のための連絡チャンネルの再開が必要だと強調。「梅雨シーズンの洪水被害防止のためにも北が一方的に遮断した南北連絡チャンネルの復旧が急がれる」と訴えた。

 一方、「原則に基づいて南北関係を確立しながらも、南北の接触を維持、管理していく問題について考えている」と述べ、民間の対北朝鮮接触制限方針を柔軟に適用する可能性を示唆した。

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