「マンション身分社会」韓国の婚活【萬物相】

 ソウル市瑞草区のある新築大規模マンションで、入居者の未婚の子女同士の出会いを取り持つ会が結成されたという報道があった。入会金は10万ウォン(約1万1000円)、年会費は30万ウォンだ。加入対象者はマンション入居者および入居者の結婚適齢期の子女。このマンションは最近、専有面積85平方メートル(25坪)の物件が42億5000万ウォンで取り引きされている。1坪当たりの売買価格が1億6500万ウォンに達するということだ。

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 韓国に大規模マンションが建てられ始めたのは1970年代初め以降だ。1990年までは10世帯中6世帯以上が一戸建て住宅で暮らしていた。だが、この30年間で国民の半数以上がマンションで暮らす「マンション共和国」になった。高所得層は77%がマンションに住んでいる。マンション暮らしが増え、隣に誰が住んでいるのかも分からないという共同体崩壊の懸念も高まった。ところが、住宅価格が急騰し、住宅価格格差が広がると、同じマンション内に住む住民同士でマンション価格を守るための利益共同体が形成されつつある。韓国の家庭における資産は78%が不動産だが、ほとんどの家庭で保有不動産がマンション1物件だけだからだ。

 マンションの近くに賃貸用の若い世代向け住宅が建設されると聞けば区庁(区役所)に苦情が殺到し、デモが行われる。若い世代向け住宅のせいで(自分が暮らしている)マンションの価格が下がるということだ。2000年代初めから、あるマンションの同じ敷地内に分譲住宅と賃貸住宅を建てる「ソーシャルミックス」が導入されたが、対立が絶えない。あるマンションでは賃貸住宅の建物だけ外観や色を変えて建てた。商業施設と集合住宅が入る1棟の複合ビルで、賃貸世帯は低層階、一般分譲世帯は高層階に分け、入口やエレベーター、非常階段まで別にしたケースもあった。

 「かつては血統が身分を分けたが、現代は文化と趣向が身分を分ける」とフランスの社会学者ピエール・ブルデューは言う。韓国は「マンション身分社会」になっていきそうだ。似たような形で大量生産されたマンションに住んでいるため、マンションの名前と棟の番号さえ入力すれば、その人の資産状況が把握できる。こうした動きに敏感に対応する商法がこれをあおっている。あるカード会社では、高価な新しい大規模マンションを対象にした入居者専用クレジットカードを発行した。特定のマンションで暮らしていることがまるで特別なステータスでもあるかのようだ。そのクレジットカードで近隣のデパートに行けば他とは違う恩恵が受けられるという。

 今は「財閥一族の婚脈(結婚のつて)」に続き「マンション婚脈」も登場しそうだ。「マンション内の結婚相手紹介」という記事に、これを読んだ人々は「持ち家の人なのか賃貸のひとなのか、リーグを別にするの?」「www 100坪(の持ち家の人)には30坪の人を3人付けてくれ」「物件の広さ別にしてから結婚して」「よそに引っ越したら離婚するんですか?」などのコメントが寄せられている。なんだか世知辛い。

姜京希(カン・ギョンヒ)記者

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