それにもかかわらず、ウさんは言語障害には悩まされていないように見えた。医療陣は、ウさんには言語障害がほとんど残っていないと診断した。こうしたケースは極めて少なく、2-3%の確率だという。事故の前には本を出版するほど記録するのが好きで、バスや地下鉄の中でも常に本を読み、中学や高校で講演をしていたことから、こうした経験が回復に大きく役立ったようだとウさんは語った。ウさんは「担当医は、私は運が良く前向きだからだとおっしゃってくださいました」と話した。現在もウさんはブログなどで日常を公開し、1分ほどの動画で病院での生活を発信している。
ウさんは手術直後、状況に合う言葉を思い出すのが最も難しかったという。例えば、「ママ」を「パパ」と呼んだり、年下の夫を「お兄ちゃん」と呼んでしまったりした。浄水器という言葉が思い出せずに「冷水器」と言ったこともあったし、冷蔵庫や掃除機など家電製品の名前も思い出せなかったという。ウさんは、自分で作った単語ノートも公開し「使える単語が少なくなった自分にとてもショックを受けました」「言語療法でワークブックを勉強し、小・中・高校生向けの本を10冊以上買って読んでいます」と話した。ウさんは今後、動画で自身の日常や読書に関することを発信する予定だ。
ウさんは「自分があの日、これよりひどいケガをしなかったということに感謝したい気持ち」だとして「これからは絶対に良くなるという強い気持ちを持って、一日一日を大切に過ごすよう努力しています」と話した。
ウさんの動画には「応援しています」「完治することを祈っています」「カッコいい」などの励ましや応援のメッセージが相次いだ。あるネットユーザーも自身の経験を打ち明け「11年前、米国で脳出血のため手術を受けたらバクテリアに感染し、右の脳を切除してチタンプレートを入れました。リハビリを頑張って、失語症とうつ病を両方とも克服しました。子どももちゃんと育てて奨学金で大学に4年間行かせました。ウさんも頑張ってください」と書き込んだ。
また、別のネットユーザーも「通りすがりのがん患者ですが、前向きな姿を見て自分のことを反省したくなります。負傷した頭を見せるという勇気を目の当たりにし、自分自身が恥ずかしいと感じています」「脳の大手術をしたのに完成度の高い文章を落ち着いて話すことができるということに驚いています」などのコメントを付けた。
イ・ヘジン記者