日本の総務省が個人情報流出問題に関連し、LINEヤフーに3月から4月にかけ2回にわたり下した「行政指導」には法的拘束力がない。形式的には政府機関が民間企業や個人に「こうした方がよい」と伝える助言にすぎない。違法行為に対して下す強制性を伴う法的措置である「行政処分」とは対照的だ。
総務省のウェブサイトによると、行政指導は「行政指導は(行政)処分のように、相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としている」とした上で、「行政指導に必ず従わなければならない義務が生じるものではない」と説明している。また、「行政指導の相手方がその指導に従わないからといって、役所がそのことを理由に、差別的、制裁的な取扱いをすることは禁止されている」との説明もある。
しかし、法的拘束力がないとしても、日本企業が政府の行政指導に従わないことは事実上ないのが現実だ。特に通信・金融など規制による影響を受けやすい業種の場合、政府と対立していては事業が難しいため、行政指導に従うしかない。韓国のネイバーと日本のソフトバンクによる合弁会社であるLINEヤフーに対し、総務省が「ネイバーとの資本関係見直しを要求する」という行政指導を2回も行ったことが非常に異例と受け止められているのはそのためだ。行政指導を下せば、誰もが従うので、2回も指導する必要はないからだ。
LINEヤフーと似た行政指導として、NTT西日本の例が挙げられる。昨年、10年間に個人情報928万件が流出した事実が明らかになると、総務省は管理監督の強化を求める行政指導を行った。その後、NTT西日本は管理監督強化策を提出し、その過程で森林正彰社長が引責辞任した。
行政指導は欧米では見られない独特な制度で、日本国内でも法治主義に反するという指摘が少なくない。法的拘束力がないため、「正当性」を争う手続きもない。行政処分の場合、裁判所がその是非を判断できるのとは対照的だ。もしネイバーが行政指導に従わない場合、総務省が法的拘束力を持つ行政処分を下すことはできる。日本の弁護士は「行政指導に明記されたネイバーとの資本関係見直し要求は、行政処分では通用しない可能性が高い」と話した。総務省が外国企業に株式売却を要請する法的根拠がないためだ。韓国では、金融機関など企業に問題が発生した場合、金融監督院など当局が行政指導方式で対策を指示することが少なくなく、企業もそれに不服を申し立てることはほとんどない。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員