2日間の中国訪問の日程を終えて14日に帰国した韓国外交部(省に相当、以下同じ)の趙兌裂(チョ・テヨル)長官は帰国前に現地特派員らの取材に応じ「韓中両国が互いの違いを認め、両国関係発展の新たなモメンタム(気運)を築くことが今回の訪中における最大の成果だ」と述べた。ただし前日午後に北京の釣魚台国賓館で行われた中国の王毅・共産党政治局員兼外相との会談と夕食会では合意文の発表には至らず、趙長官と習近平・国家主席との会談も実現しなかった。
【写真】文在寅大統領に席を案内される王毅外相(2020年11月26日)
取材で趙長官は「(王外相と)4時間にわたり韓日中首脳会議や北朝鮮問題など、相互の関心について包括的かつ深い対話を交わした」とした上で、王外相に年内の韓国訪問を要請したことや、両首脳の相互訪問が必要との意見を交わしたことも明らかにした。現在韓中関係はギクシャクしているが、この点について趙外相は「大枠では韓米同盟と韓中の戦略的協力同伴者関係の間で生じた意見の食い違いだ」との見方を示した。
今回公開された中国外交部の資料によると、王外相は前日の会談で「韓国には台湾問題を慎重に取り扱うよう望む」「韓国は『一つの中国』の原則を守り、台湾関連の問題を慎重に処理し、両国関係の政治的な基調を安定させねばならない」と述べたという。台湾独立派の賴清徳氏が今月20日に台湾総統に就任するのを前にあえてこのようなメッセージを出したようだ。韓米両国は昨年「台湾海峡における力による現状変更に反対する」とのメッセージを出したが、これに中国は強く反発した。
王外相は韓国が米国主導のサプライチェーン再編に参加することへの不満も伝えた。王外相は「中国は急速に『新品質生産力(先端技術中心の経済発展)』を発展させており、これは韓国にも大きなチャンスをもたらすだろう」とした上で、貿易保護主義に共に反対し、自由な国際貿易のシステムを守り、円滑な生産とサプライチェーンの保障を呼びかけた。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員