中国の芸術家は愛国者か反逆者か【コラム】

 「共産党員なのか。中国共産主義青年団(共青団)の局長級幹部だという話が広まっている」――。4月16日、世界的に有名な中国のSF作家、劉慈欣さん(60)との電話インタビューでそんな質問をぶつけた。すると劉さんは間髪も入れずに「党員ではない。それ以外の党・政府の職責もない」と答え、戸惑った様子を見せた。劉さんが中国の宣伝に利用されているという疑惑が国外で存在することを意識した質問だったが、なぜか「思想検証」を行う調査官のようで恥ずかしさを消し去ることができなかった。

 残念ながら現在中国で活動している有名人はいつでも「赤いレッテル」が貼られる運命にある。固有の作品哲学を追求する芸術家やひたすら金銭的利益を追求する企業家であっても、外部は中国当局の「宣伝ツール」ではないかと疑っているのだ。新冷戦が始まる可能性が高まり、中国の全ての作品や商品が自由陣営で警戒対象になった。劉慈欣の原作に基づく「三体」は過去にオバマ元米大統領が絶賛した作品だが、最近この小説を原作にネットフリックスのドラマが製作された際には、米政界の反対に直面した。

 同じ論理で海外で認められる中国人芸術家は「反体制人物」と同義語になっている。現代美術の巨匠である艾未未は韓国をはじめ世界各地で大規模な展示会を開くが、故郷である中国国内では展示が禁止されている。中国当局は昨年10月、ノーベル文学賞の発表を控え、有力な受賞候補だった中国人女性作家、残雪に関する検索をソーシャルメディアで禁止した。 台湾の作家、李敖は「中国人は祖国を裏切らないとノーベル文学賞をもらえない」と語ったことがある。

 こんな皮肉な状況は中国が自ら招いた側面が大きい。中国は過去10年間、芸術家のインスピレーションと資本家の手腕を国家の影響力拡大の手段として利用してきた。中国の映画監督、陳凱歌(チェン・カイコー)は文化大革命を批判した1993年の映画「覇王別姫」でカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞したが、今では愛国映画を製作している。6・25戦争(朝鮮戦争)での中国人民義勇軍の活躍を描いた映画「1950 鋼の第7中隊」(原題・長津湖)は中国共産党成立100周年を記念する作品だ。アリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)は政府批判発言で注目されたが、さまざまな不利益を受けた後、ほとんど目立った行動を取らなくなった。

 中国当局が不適切な発言の公表を理由に投獄した作家は100人を超えた。表現の自由を擁護する非営利団体「ペン・アメリカ」の最新報告書によれば、中国で公の声明を出したことなどを理由に収監された作家は107人に達するという。

 今後中国のクリエイターと事業家に我々はどんな視線で接するべきか。むやみに排斥しようとすると新しい差別を生み、包容しようとすると心の片隅の疑いを振り払うことができない。万里の長城をめぐる疑いの壁は高まっている。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

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