韓国の地方自治制、いっそのこと廃止せよ【寄稿】

京畿道の新しい名前を公募したところ、「平和ヌリ特別自治道」が1位、笑うに笑えない喜劇
日米の地方自治が成功した理由はもともと別の地方で別の国家だったため、一方の韓国は王建以来、中央集権
低成長、高齢化、国家的難局…今必要なのは大胆なイノベーション

 地方自治制は大韓民国を「ワンチーム」ではないかのように引き裂いている。いわゆる「豊かな町」に住む人々は、私が納める税金をあの「貧しい町」の人々のために使うと言って不満を抱く。逆に「貧しい町」の人々はお前たちが恩恵を独り占めして「豊かな町」になったのではないかとかみ付く。必要以上に大きな市役所、道庁、区役所を建てて予算を浪費するのは、こうした心理の反映だ。互いに茶わんをちらつかせながら、他人に与えるのがもったいないため、私が全部食べてしまわなければならないというノルブ(フンブとノルブの昔話)の心理で国が回っているわけだ。

 他の国がどうであれ、韓国の地方自治制はこうした制度だ。もはや誰も国家レベルのアジェンダ(政策課題)を思い浮かべたり推し進めたりすることはできない。トマス・ホッブズの表現を借りれば「地方自治体による地方自治体に対する闘争」だけが残った。さらに、そのような「国家失踪」は「地方消滅」を加速化させている。

 多くの専門家が指摘しているように、地方消滅を防ぎ人口を分散して出産率を回復するためには、ソウルや首都圏とは別のメガシティー広域圏を造っていかなければならない。地域別の産業プラン、中小都市の統廃合、インフラの再構築をしても実現できるかどうかといった、第2の建国に次ぐ大事業である。地方税収入と支出を巡る葛藤が「京畿北道」の分道へと進み、その上で特定の年齢層の政治勢力が北朝鮮に向けた奇怪な執着を込めて「平和ヌリ特別自治道」というおかしな名前を付けようとするこの国で、果たしてそれが可能なのか。

 地方自治制が必ずしも悪いわけではない。長い軍事政権時代を終え、民主化の第一歩を踏み出す過程で世論の上向き志向の窓口的役割をある程度果たしてきた。しかし、今は全国民がスマートフォンを持ち歩く時代だ。今、私たちに必要なのは、何なのかも分からない自治体、基礎議会(市・郡・区議会)議員の選挙などではない。低成長・高齢化の時代を突破できる慎重かつ大胆な国家的プランが切実に望まれる。全国民が一丸となって魔法のつえを振りかざし、地方自治制の構造的問題を解決できることを願うだけだ。

ノ・ジョンテ経済社会研究院専門委員・哲学

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