尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領就任後2回目となる記者会見が9日に開催されたが、会場では質問の機会を得ようとする記者たちの間で激しい競争が繰り広げられた。司会者が次の質問を求める前から数十人が一気に手を上げる様子が73分間の会見の最初から最後まで続いた。6番目に質問したのはハンギョレ新聞の記者だった。ハンギョレ新聞はこの日朝の1面トップ記事に「海兵隊員殉職事件捜査外圧疑惑で大統領室関与の疑いが濃厚に」と報じた。ハンギョレ新聞の記者は「海兵隊員殉職事件で高位公職者捜査処の捜査を受けている李鐘燮(イ・ジョンソプ)元国防部(省に相当)長官を駐オーストラリア大使に任命した理由」を質問し、尹大統領はこれに答えた。
あらゆるメディアの共通の使命の一つが権力の監視だ。しかしどの政権も自分たちに特に批判的と見なすメディアがある。現政権がハンギョレ新聞に対して抱く感情はおそらく文在寅(ムン・ジェイン)前政権が朝鮮日報に対して抱いていたものとよく似ているはずだ。文前大統領在任中に朝鮮日報は質問の機会を得て「不快な」質問をしたことがあるし、尹大統領も2022年11月、出勤時の会見でMBC放送記者から抗議に似た質問を受けた。これを最後に出勤時の会見は中止となった。
第22代総選挙で与党は惨敗したが、それでもメディアが大統領の記者会見に関心を持つ理由は、国民が選んだ大統領はそのメッセージに重みがあるからだ。会見は大統領が国民と野党を説得し、自らに対する批判を和らげるチャンスとも言える。今回尹大統領の会見について報じた記事には「なぜもっと早くから会見をしなかったのか」という趣旨のコメントが多かった。担当記者団も尹大統領が入場する際には起立して国家元首への礼を尽くし、攻撃的な質問をするときもそれなりの丁重な姿勢は守った。会見が終わる際に尹大統領は「今後このような機会をもっとたくさん持ちたい」と語ったが、この約束は国民はもちろん尹大統領のためにも守られてほしいものだ。
キム・ドンハ記者